劇場公開日 2006年10月28日

「戦勝国の虚しさを描くイーストウッド監督」父親たちの星条旗 Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0戦勝国の虚しさを描くイーストウッド監督

2020年5月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「硫黄島からの手紙」と同時に制作されたイーストウッド監督の渾身の力作。激戦となった戦場を舞台に、日米両国の視点で描き二部作にしたイーストウッド監督の創作エネルギーに感服する。山頂に星条旗を掲げた兵士たちに、本土に戻って国債発行のPRの為にツアーがあったことを知る面白さと、そこに戦争の虚しさを同時に感じて複雑な心境になる。
残念なことは現在と過去のカットバックが説明不足な点で、容姿が似ていない配役の問題もある。特筆は、球場に作られた山頂のモニュメントで星条旗を掲げる再現イベントシーンの演出。戦闘場面は臨場感溢れ、迫真の壮絶感に包まれ圧倒された。この上で兵士一人ひとりの個性が映像上に焼き付けてあったならば、恐ろしいまでの傑作になったと思う。役者が弱い。

Gustav