「是非、多くの日本人に見て欲しい作品」硫黄島からの手紙 mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)
是非、多くの日本人に見て欲しい作品
正直言って前作の「父親たちの星条旗」の方がよく出来ている。
点数は☆☆☆.5。でも前作「父親たちの星条旗」と対(つい)で2作品合わせてなら、☆☆☆☆☆だと思った。何よりも画期的。日米双方から、それも第一級の作品が作られたのだから。
不満点は、(これから見る方は読まないでください。)
・栗林中将(渡辺謙)、西中佐(伊原剛志)の役柄はきれい過ぎるし(米国人が作ったので、日本人への配慮があったのか?)、対立する伊藤大尉(中村獅童)は類型の域を出ていない。
・2万人もの日本兵がいるとは見えない。
(当時、硫黄島には2万人以上の日本兵がいた)
・時間経過が分からない-すぐにアレだけ膨大な地下壕が出来たようにみえるし、一ヶ月の戦いには思えない。一週間ぐらいな感じ。
ただ、西郷(二宮和也)のおかれた状況の背景としての戦場であれば、とりあえず納得。彼をもっと中心に話が進めば、上記の問題点は解決するのではと思う。
(前作「父親たちの星条旗」では、「戦場」は主人公3名の「記憶の断片」としてフラッシュバックされていて、それで戦場の全体が類推できた。が、今回は、戦場をメインにしているので、時間経過や、上に書いたような問題点が気になる。)
でも、この映画で初めて、あの戦場に行った若者が、自分自身と変わらない同じ世界に住んでる人間であったと思えた。日本の戦争映画は、どこか別世界の話のような感覚がいつもある。その意味では衝撃度は「父親たち星条旗」より大きかった。
(米国人が作った「日本映画」(硫黄島からの手紙)であらためて当時の戦争について深く考えされて、映画でも日本は米国に負けた)
ふと夜中に目覚めるとこの映画のことが頭に浮ぶ。自分は今、この上ない幸福の中で生きているのだとつくづく思う。
是非、多くの日本人に見て欲しい作品。