劇場公開日 2006年12月9日

「アメリカ人とこの映画について語り合いたい」硫黄島からの手紙 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0アメリカ人とこの映画について語り合いたい

2020年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

知的

ドキュメンタリー風。目の前で爆破して血や肉片がこっちまで飛び散ってくるような臨場感がある。
 『父親達の~』を観ていると「あ、この場面」と二重の楽しみも。

日本制作にありがちの「それ泣け〜!!」とか教訓的な盛り上がりには欠ける。
 ただ淡々と綴られる。
 役者の熱演で感情移入して盛り上がれるけれど、演出として、音楽とか総動員して盛り上がらせようとはしていない。
 それだけに、考えさせられる。この戦争ってなんだったのだろうと。特に二部作両方見て、両方の事情知ってしまうと、なんだったのだろうと。

あの時代の人々が何故あのように、一つの価値観に追い込まれていってしまったのか、よくわからない。教育制度や、非国民にされないためという人もいる。
 でも、それよりも何よりも、あの極限状況に置かれて、自分がやっていることの意義を妄信しないと心が折れちゃうと、この映画を観ていて思った。自決も視野狭窄。

しかも考えてしまったのが「家族を守るために自分の命を投げ出す」「困難なミッションと知りつつも、あえて挑戦する」姿に憧れを感じるのは、あの時代特有なものではない。『宇宙戦艦ヤマト』『ガッチャマン』その他たくさんの映画にも流れている主題。
 あの時代特有の狂気としてしまうだけでいいのだろうか?

 とてもたくさんのことを考え、感じさせられた。泣いて、感動して、なんていう言葉が薄っぺらに思えるほど。

 観て、そして多くの人と語り合いたい。

とみいじょん