「 冒頭では“黒い9月”のアジトがイスラエル側によって打ち砕かれた。...」ブラック・サンデー kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 冒頭では“黒い9月”のアジトがイスラエル側によって打ち砕かれた。...

2018年10月30日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 冒頭では“黒い9月”のアジトがイスラエル側によって打ち砕かれた。爆弾でアジトは壊滅。仲間はことごとく殺されたが、ただ一人の女テロリスト・ダリア・イヤッド(ケラー)は、イスラエルのカバコフ少佐(ショウ)のためらいによって生き残る。しかし、犯行後に残すための声明を吹き込んだテープが奪われ、イスラエルとアメリカ側に警戒されるのだ。ベトナム戦争での犯罪人として捕虜となったアメリカ人パイロット、マイケル・ランダー(ダーン)はマインドコントロールによって組織に協力、というより主犯格となっていた。

 22万発のダーツとプラスチック爆弾?それをアメリカまで輸送するのも、危険がいっぱい。ダリアとマイケルだけでの計画となっていた。女テロリストの顔を知ってるのはカバコフのみ。アメリカ市民がイスラエル支持から離れることを危惧したこともあり、彼もアメリカに渡り、計画を阻止しようとする。どこで何が起こるのかも知らずに・・・

 やがて録音テープの解析によってダリアの正体がバレ、全米に指名手配される。一緒にいた組織の幹部ファジールが見事な殺し屋ぶりを発揮。凄腕だった。計画ではグッドイヤーの飛行船の操縦をするつもりだったランダー。しかし、落選。ダリアは気落ちすることなく、当選したパイロットの殺害を実行する。

 ハラハラドキドキ・・・80年代に入ると、ハリウッドのアクション映画なんてのは、みんなテロリストとの闘いという内容ばかりだけど、この映画は違う。犯人側の計画は実行に移されるまでわからないし、なんせ犯人側の描写のほうが多いくらいだから、犯人側にも感情移入してしまうのだ。戦争の犠牲になった国。他国からの攻撃を受けた国民。その復讐のために生きる女ダリア。また、ランダーは勲章をいくつも受けたベトナム帰還兵でありながら、戦争犯罪人として人間扱いされなかった恨み。ステレオタイプのテロリストとは一風違うのだ。ロバート・ショウの役をシュワちゃんなり、スタちゃんがやったりしたら凡作になってたろうな。

 9.11を予言したかのような内容、といえばそうなのだが、ベトナム戦争にまで遡ってみると、やはりアメリカ帝国主義がいかんのだろう・・・と、今後のアクション映画の見方さえも変わってくるかもしれない。

kossy