「愁いを含んでほのかに甘く」アスファルト・ジャングル 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
愁いを含んでほのかに甘く
クリックして本文を読む
1950年代のノワール映画。
主演のスターリング・ヘイドンがイイ。
犯罪者だけど「純」な南部男を演じている。
ヌボーっと立っている姿を見ると、この人を助けたいという恋心のようなものが湧いてくる。
共演のサム・ジャッフェもイイ。
強盗の計画者を飄々と淡々と演じている。彼の最後のシーンは、怖くもあり切なくもあり、気持ち悪くもある。
その他、悪徳警官(バリー・ケリー)、悪徳弁護士(ルイス・カルハーン)の面々もみなイイ味。
犯罪者たちを擁護している映画ではないけれど(きちんと正しく犯罪は割に合わないと思わせる内容だけれども)、悪い登場人物たちに哀しい親近感が湧く。だからこそ彼らの道行きに固唾をのむ。
そして何よりチョイ役で出ているマリリン・モンローがとてもイイ。
悪徳弁護士の愛人役で出てくる。
チョイ役なので、彼女のバックグラウンドはあまり説明されないのであるが、彼女をひとめ見たら、どんなに真面目な男でも、のめりこむのも無理ないわーと深く納得してしまう。
男が、彼女に金を注ぎ込むことも、それで破産してしまうことも、挙げ句の果てに強盗にまで手を出してしまうことも、説明されなくとも一瞬で納得してしまう。
そのくらい、モンローは、魅力的だった。
愁いを含んでほのかに甘く、それでいて酷薄な女。
この映画の頃、モンローはまだブレイク前。同年に『イヴの総て』にもチョイ役で出ている。そっちの方は、とにかくコミカルな役どころで、また違った顔を見せている。
コメントする