アスファルト・ジャングルのレビュー・感想・評価
全4件を表示
ジョブ型雇用
ストーリー:綿密な計画で実行された宝石泥棒。完全犯罪のはずが、ほころびが出始め警察の手が迫る。 泥棒チームのメンバー選定があっというまに進むので、そんなんで完全犯罪できるのかと要らぬ心配をしてしまう。メンバー選定もそうだが、泥棒シーンも淡々と進み拍子抜けするくらいだ。泥棒シーンは一見シナリオ通りだが、想定外のことが徐々に起こり完全犯罪に楔を打つ。 犯罪のほころびが見えてくる辺りから、各犯罪者が微妙に最適解から外れた対処をとっているのも見ものである。 あまりどの登場人物に肩入れするでもなく全員との距離を保った描き方。それは特徴的で有意義な試みではある。しかし犯罪映画に期待するような興奮感が得られず、映画全体に乾燥砂漠が広がっている様な白けた感触がある。それがアスファルト・ジャングルということなのかな。 具体事例を淡々と述べるだけの進み具合に「夜明け前」という小説を思い出してしまった。全然異なるシチュエーションではあるが。 今週の気付いた事:彼こそルパン。
面白かった
銀行の金庫破りが時代性もあって、それほど難しい計画でなかったにもかかわらず、調査から漏れた防犯ベルが鳴ったり、警備員に仲間が撃たれたりという不運の連続でどんどんボロボロになっていくのが悲しかった。犯罪映画はたいてい犯罪者を応援して見てしまうのだが、この映画では引退間際のおじいちゃんが犯罪計画を立案しているところが非常にグッと来た。
結局、裏切る形になる、スポンサーのあいつはお金を全然出資してなかったので、あいつ抜きでやった方がまだよかった。実の姪を愛人にしていたのだろうか? 奥さんが病気だったりして同情する部分はあるもののけしからん男であった。
あと、運転手もそれほどいらなかったのではないだろうか。マンホールの近くに車をとめておいて、用心棒が運転すればよかったように思った。
愁いを含んでほのかに甘く
1950年代のノワール映画。
主演のスターリング・ヘイドンがイイ。
犯罪者だけど「純」な南部男を演じている。
ヌボーっと立っている姿を見ると、この人を助けたいという恋心のようなものが湧いてくる。
共演のサム・ジャッフェもイイ。
強盗の計画者を飄々と淡々と演じている。彼の最後のシーンは、怖くもあり切なくもあり、気持ち悪くもある。
その他、悪徳警官(バリー・ケリー)、悪徳弁護士(ルイス・カルハーン)の面々もみなイイ味。
犯罪者たちを擁護している映画ではないけれど(きちんと正しく犯罪は割に合わないと思わせる内容だけれども)、悪い登場人物たちに哀しい親近感が湧く。だからこそ彼らの道行きに固唾をのむ。
そして何よりチョイ役で出ているマリリン・モンローがとてもイイ。
悪徳弁護士の愛人役で出てくる。
チョイ役なので、彼女のバックグラウンドはあまり説明されないのであるが、彼女をひとめ見たら、どんなに真面目な男でも、のめりこむのも無理ないわーと深く納得してしまう。
男が、彼女に金を注ぎ込むことも、それで破産してしまうことも、挙げ句の果てに強盗にまで手を出してしまうことも、説明されなくとも一瞬で納得してしまう。
そのくらい、モンローは、魅力的だった。
愁いを含んでほのかに甘く、それでいて酷薄な女。
この映画の頃、モンローはまだブレイク前。同年に『イヴの総て』にもチョイ役で出ている。そっちの方は、とにかくコミカルな役どころで、また違った顔を見せている。
全4件を表示