「ようやく観た(スクリーンで)」明日に向って撃て! CBさんの映画レビュー(感想・評価)
ようやく観た(スクリーンで)
シネスイッチ銀座のポールニューマン特集で観た。ありがと、シネスイッチ。
観たことはある。ただ、それは小中学生時代にTVで観たのか、はてまた20歳頃に名画座で観たのか、それすら定かではない。記憶の薄さから言えば前者だろうか。今回は、4Kリマスターを劇場で。至福の時だ。
恥ずかしい話ながら、どっちがポールニューマンでどっちがロパートレッドフォードかわからなかった。頭のきれるブッチがポールニューマンで、早撃ちキッドがレッドフォードだったんだね。
オープニングはモノクローム。列車強盗後に追われるシーン。そこからの5分間はすてき。朝もやの青さ、荒野の茶色、だんだん色づいていく映像。
派手な強盗シーンはあるんだけれど、けっこう多くのシーンは逃げ回っているシーンだったんだな。
終盤に入る前、ニューヨーク、コニーアイランド経由でボリビアに旅立つまでがいい。10分強の静止画の連続。当時のモノクロ写真の中にさりげなく三人の姿が埋め込まれている。動画では時間を要すところを、静止画にすることで、観ているこちらの想像力で補完させて大幅に時間短縮する手法。ストーリー的にも、ここを丁寧に撮ってしまったら、間延びして逆効果だったろう。
これこそ、アメリカンニューシネマって感じ。
うっすら気づいてはいても、突っ走るしかない破滅への道。
今の人たちが観たら「どこが、アメリカン "ニュー" シネマなの?」と不思議だろう。
主人公が正義の味方じゃない、主人公が分別ある大人の男じゃない、最後がハッピーエンドじゃない。そういう映画は今では当たり前だが、当時は驚きだったんだってさ。ハリウッドもこの映画の頃より前は、基本的には「水戸黄門」が基本だったってことかな。それに対して、この映のように、犯罪者が主人公の映画、エンディングシーンは破滅の映画、といったものがニューシネマ。それはフランスでヌーベルバーグ(New Wave・新しい波)として始まり、米国では "アメリカンニューシネマ" として、世界中を1960年代後半から1970年代にかけて席巻する大きな波となったそうです。
アメリカンニューシネマの中にも本作のように今でも色褪せないものもあれば「卒業」のように今観ると首を傾げたくなるものもあり。皆さんも機会があれば、いろいろ観てみてください。映画も、100年のうちに、幅が広がり続けているんだね。
あ〜、自分には面白かった。最後も静止画で、カッコいい!!
おまけ
「明日に向かって撃て」 と言えば 「雨にぬれても」 。この楽しそうな音楽はこんな風に使われていたんだなということを確認できてよかった。
「ゴッドファーザー」の愛のテーマといい、この音楽といい、緊迫感がベースになっている映画の中の "ひとときの安らぎ" というシーンは、俺たちの耳に心に染み渡るものなんだなぁ、とわかる。もちろん音楽がよければ、であることは間違いない。
CBさん、コメントありがとうございます。
先輩と呼ばれるほどには人生経験は積んでいず、映画かぶれの頭でっかちですよ。私も小学生の頃はゴジラ、モスラ、ガメラの怪獣映画やアニメ映画が大好きで田舎の映画館に通い、テレビでは「スパイ大作戦」「宇宙大作戦」に夢中になっていました。中学時代はテレビで色んなジャンルを観ましたが、好みが狭くなったのは高校時代です。「ゴジラー1.0」は久し振りに映画館で楽しみました。やはり映画の醍醐味を味わうには劇場鑑賞ですね。
ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードとも、とても魅力的でしたが、キャサリン・ロスも素敵でした。
ラストシーンは私にとっては、唯一無二のものです。あれ以来、自分が本当のピンチの時にジョークを言えるような人間になりたいと思うようになりました。