「闇深き権力構造に挑む!」悪い奴ほどよく眠る しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
闇深き権力構造に挑む!
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黒澤プロダクション第一回作品。
Blu-rayで鑑賞。
東宝から独立した黒澤明監督が、自身のプロダクション初製作作品に選んだ題材は、当時世間を賑わせていた大企業と国が絡んだ汚職の実態に迫る、という骨太な社会派路線でした。
描写はリアルでありながら、エンターテインメント性も忘れず…。蜥蜴の尻尾切りで自殺した父親の復讐のために行動する西幸一を主人公に、スリルとサスペンスが炸裂しました。
冒頭の披露宴シーンで、背景説明を分かりやすくスマートにやってのけたかと思えば、後は最後までノンストップ、息も吐かせぬハラハラ・ドキドキの展開に手に汗握りました。
悪を追い詰めるためには、自らも悪に染まるしかないのか。目的と手段の相克に苦悩しながらも、ジワジワと標的を追い詰めていく西。しかし、敵はあまりにも巨大でした。
闇深き権力構造に対して、個は無力なのか。正義を貫徹することが何故こんなにも困難なのか。苦い結末の後の「これでいいのか!」と云う怒りの叫びも虚しく響き渡るのみ…
決して表に出ることなく、利権を貪り、国民の血税を懐に納め、枕を高くして眠っている悪い奴には、指一本触れることさえ出来ないのか。今も昔も不変な黒い機構に戦慄しました。
※修正(2023/06/01)
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