「ストーリーを完全にしたバージョン」レオン 完全版 かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリーを完全にしたバージョン
ジャン・レノとナタリー・ポートマンを一躍世界的存在にした、傑作クライムアクション・ロマンス。
【ストーリー】
舞台はニューヨーク。
イタリア系マフィアのスイーパー(殺し屋)として汚れ仕事を完璧にこなすレオン。
同じアパートに住む、粗暴で子供に無関心な両親のもとでDVを受けながら生活するマチルダ。
二人は顔を合わせれば、ひと言ふた言あいさつをかわす程度の間柄だった。
ある日、麻薬の売人の父親が商品の横流しがバレて、一家全員が取引相手のスタンとその仲間に殺され、なりゆきからレオンはマチルダをかくまう。
頭のよいマチルダはすぐにレオンの仕事に気づき、ただ一人自分に懐いてくれた弟の復讐のために、自分にも仕事を教えてくれと頼む。
強く断るレオンだが、やがて根負けして、マチルダに殺人の技術を教えるようになる。
孤独な二人の、親子のようで、師弟のようで、恋人のようでもある不確かな関係の生活が始まる。
レオンの人物像は、同監督の「ニキータ」に出てきたヴィクトルを広げたもの。
ジャン・レノが「あの役で物語を作ってくれ」と頼むほど気にいっていた、冷酷で存在感抜群の殺し屋です。
マチルダ役のオーディションにはリブ・タイラーもいたそうですが、射止めたのはこの映画が初出演となるナタリー・ポートマン。
可憐な外見ながら頭の回転が速く、一筋縄ではいかないヒロインを見事に演じています。
必要なシーンがいくつも抜けていた、スイスチーズのように穴だらけの北米版でしたが、こちらにはマチルダの訓練シーンと銃撃戦の中の告白シーンも補完して、哀切のラストにより強い印象を刻んでいます。
特にATF——麻薬取締局の部隊突入シーンの中、マチルダが「愛している」とレオンに伝えたシーンは出色ですが、北米でのスニークプレビュー(観客にも秘密にした先行上映リサーチ)では、ブーイングとポップコーンが飛び交うほど不評だったとか。
ベッソン監督、これには相当おかんむりで「アメリカの観客は世界で最良とは思えない」としつつも、ハリウッド式の製作については「仕事を広げてくれた」とも語っています。
個人的見解ですが、そのシーンについて、自分は監督の意見を大いに尊重していますよ。
組み合わせの設定によって、単なるヒットマン作品が何倍にも楽しい作品になることを教えてくれた。
勉強ができないヒットマンレオンと、家族を殺された少女マチルダ。
最後に孤児院の面接で少女が、「私はギャングに家族を殺され、助けてくれたのは殺し屋でした。でも、彼は私にとってはただの人ではありませんでした。彼は私の友達でした」
レオンにとってマチルダは家族同然だったのかもしれませんね。