「完全版と見比べてびっくり」レオン(1994) うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
完全版と見比べてびっくり
記憶の書き換えが、自分の中で行われていたらしく、オリジナル版よりも、完全版のほうが優れているという結論に至りました。
両者の違いは、
もともと公開予定で完パケ状態の「完全版」を試写会にかけた時に観客が、マチルダの行動に拒否反応を強く示したために、やむなくカットしたシーンがいくつかある。ということらしい。
つまり、「完全版」から、いくつかのシーンをカットしたものが「オリジナル版」ということで、この作品が大ヒットしたのちに「完全版」が日の目を見るという運びになったらしい。
なかでも、
・マチルダが年齢を18歳だと偽るシーン
・トニーのおやっさんにマチルダを紹介し、「パートナーだ」といって仕事を一緒にするようになる。手口は、標的にドアを開けさせるためにガムでのぞき穴をふさぎ、マチルダが子供の声で適当なウソをつく。思わず開けたドアを一瞬でこじ開け、レオンが始末するというもので、祝杯と言って、いつもは牛乳しか飲まないレオンが、シャンパンを飲む。マチルダも飲む。
やがて、その手口がうわさになり、ドアを開けるふりをして、ドアごとマシンガンでハチの巣にされ、危うく命を落とすところだったマチルダを、とっさの機転でレオンが救う。「ガムなんて古いんだよ」と勝ち誇る標的の男に、「だったらリング作戦だ」と言って、手りゅう弾のピンを抜いてドアに放り込む。一瞬で相手は沈黙する。「これがリングだ」と言って、手のひらを見せると、手りゅう弾のピンがあり、これはラストの重要な伏線になる。
・マチルダにピンクのドレスをプレゼントするレオン。それを着て、初めての相手はレオンにすると言って、勝手にせまるマチルダに、過去のつらい恋愛と、初めての人殺し、その時にトニーに厄介になったことと、性的不能も打ち明けるレオン。
などのシーンがバッサリ切られており、改めて見ると、どれもストーリー的に重要な要素ばかりで、よくぞ完全版を公開してくれましたと言わずにはいられない。だいたいは、ディレクターズカット版なんてものは、世に出さなくていい蛇足的なものばかりなのに、この「完全版」に限っては、「オリジナル版」を補完するものなのです。