劇場公開日 1989年2月25日

「愛は、そう、簡単ではないよな〜」レインマン 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5愛は、そう、簡単ではないよな〜

2022年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

トム・クルーズが演じるチャーリーは
チョイと強引な商売をする外車ディーラー。
出だしから、トムと部下とのやり取りや電話での客への言い訳で
チャーリーが金で追い詰められている事情が解って来る。
面倒な客への対応を部下に押し付け自分は彼女と旅行に〜
と、言っても、お金の事が気になって
彼女との会話もほぼ上の空〜
この冒頭の一連のシーンで、チャーリーが、
強引で少々身勝手な性格である事が伝わって来る。

そんなところへ10代で喧嘩して家出したまま
連絡もまともに取っていなかった父が亡くなったと、
父の弁護士から連絡が。

父の葬儀にも投げやりな態度のまま、
遺産が気になるチャーリーが勇んで弁護士を訪ねるが、
父が自分に残したのは、親子喧嘩の種になったクラシックカーと、
父の趣味だった枯れかけた薔薇の木だけだった。

ダスティン・ホフマン演じる兄が登場するまでは、
兎に角、強引で身勝手なチャーリーが強調される。
こんなチャーリーと、
ある事情で他人とのコミュニケーションが上手く出来ない兄。
凸凹な2人の珍道中!これどうなってしまうの??
と、物語に引き込まれて行く。

午前十時の映画祭ならではの作品。ぜひ劇場で!

で、月に8回程、映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては

2022年「トップガン マーベリック」が
大ヒット中のトム・クルーズが若き頃にそろそろ演技派と呼ばれたい!
みたいな気持ちで挑んだ今作。

当時、本当に良くもこんな地味な企画の映画が通ったもんだけど
そこは映画会社もトム・クルーズが出るなら
なんとかなるだろうな〜って言う感じでしょうかね?
だから冒頭は当時最先端だったランボルギーニに乗って
爆音を響かせるトムをカッコよく撮ってます。
途中にも煌びやかなラスベガスでの見せ場もあったりする。

中盤以降、父の遺産の鍵を握る兄ダスティン・ホフマンを手懐けるために
前半あれだけ強引な態度だったチャーリーが、
渋々兄のペースに合わせて行く過程は、アカデミー賞もの!
とまでは行かないけど(笑)トムも頑張ってたな〜。

しかし、この映画でアカデミー賞を手にしたのは、
泣く子も黙るダスティン・ホフマンでした。そこはしょうがない。
まばたきひとつしない、常に異次元を見つめている様な表情。
本当にそう言う人?と思わせる歩き方、後ろ姿。
この手の難病映画が流行ったキッカケだったと思います。

最後は、ハリウッド的な強引なハッピーエンドにせず、
比較的現実的な決着にした事で、逆に2人の間に通った交流は
ほそぼそとでも続いて行くのかな〜

そんな余韻が残る良作でした。

星のナターシャnova