「レイモンドとチャーリーと関係の変化が良い。」レインマン ゆめさんの映画レビュー(感想・評価)
レイモンドとチャーリーと関係の変化が良い。
ほとんど前知識なく鑑賞。
離れ離れに暮らしていたレイモンドとチャーリーが次第に兄弟になっていく6日間の旅をメインに描いた作品。
兄・レイモンドの抱える自閉症への理解皆無のチャーリーに前半はずっーとハラハラして観ていた。
チャーリー、序盤は自分の金銭問題で追い詰められているのもあるけど横暴で、向こうみずで他人をコマのように利用する人物で、心底感じが悪い…。
レイモンドへの接し方は完全に虐待も入っているし、物に当たったり、大きな音を出して相手を威圧したり人として見ていて不快だった。
(彼の相手を威圧するために大きな音を立てて手を叩くクセ、リアルでまた不快なのよな…。)
そして、今でこそ自閉症者の傾向とかはある程度世間的にも認識されてはいるけど、この映画が公開された1988年当時は世間的な理解や認知もまだまだだったんだろうなと感じながら観た。
(実際、作中でチャーリーたちが立ち寄った病院の看護師は自閉症を知らなかった)。
でもそんな2人も同じ時間を過ごして旅をすることで(チャーリーにとっては最初は不本意だったけど)、次第に心を通わせて「兄弟」になっていく。
家族を家族たらしめてるのは、やっぱり共有された記憶、思い出と相手への親愛の気持ちなんだなとこの映画を観ていて思った。
兄弟でいる時間を奪われたレイモンドとチャーリーがそれを取り戻すストーリーだったのだと観終わってみるとわかる。
特に旅を続けていたある夜のホテルで、子どもの頃のレイモンドが幼いチャーリーを危険に晒したために、彼から離れたという事実がわかるシーンでは胸が詰まった。
レイモンドはちゃんと「弟を愛する兄」だったのだ。
その後ラスベガスの絶景を望みながら2人がダンスするシーンもとても美しかった。
自閉症の方と接することはおそらく配慮すべき点はあれど、人となりを知りながら相互理解を深めるという点では、大多数の人とのコミュニケーションと変わらないのかもしれないな、と本当を観ていて思った。
また本作のレイモンドは演じていたダスティン・ホフマン氏の演技もあって、次第にチャーミングに感じられて私も好きになっていった。
チャーリーのように、共に時間を過ごすこと、そしてじの特性と、それを抱える人の性格を
「レインマン(チャーリーのイマジナリーフレンド)」が本当は「メインマン(親友)」であった、というタイトル回収も良かったな。