「みんなクラリス好き過ぎ」ルパン三世 カリオストロの城 くんぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
みんなクラリス好き過ぎ
自分もその1人だが。
クラリスもまた、ルパンの心を奪っている。だがクラリスを大事にしたいが故に、ルパンは尋常じゃないやせ我慢をする。終始男とは、我慢とかっこつけの生き物である。それこそがかっこいいのだと言わんばかりで、ルパンという人間も改めて大好きになるような作品だ。この作品が国内外の映像作品やらなんやらと多大な影響を与えていることを再確認する。みんなカリオストロ大好き症候群なのだなと。
全編意外にもセリフでの説明が少なく、映画的な演出で人物の感情の流れや、山場を作っていたので、アニメとしてかなりハイレベルな作品だと感じた。
あとは何と言っても宮崎駿作品だというだけあって、随所にものすごい細かい演出を入れることで実在感を出しているのも流石だなと思った。登場人物が何かをするときにかならず一つアクションやらちょっとしたハプニングを入れるなど、アニメでは端折ってしまうような細部まで、動きが細かい。そこはストーリー的にはいらないだろうという部分にまで思考が凝らされている。画面の中でルパンたちが文字通り「生きている」と感じさせてくれた。宮崎駿はやはり変態なのだと確信した。ちゃんと見せ場はあったが、強いていうなら、五右衛門と次元の活躍がもうちょっと見たかったなあと。まあ本作はルパンかっこいいクラリスかわいいがテーマだからいいとは思うが。
ルパン三世という作品をあまりしっかり見たことがなかったので、設定的にも荒唐無稽なケイパーものという感じなのかなと思っていたが、蓋を開けてみると驚くほどに(銭形含め)ルパンチームのじゃれあいと、ヒロイックでファンタジーな話だった。おそらくこの作品が、以降のそいうルパンイメージを作っていったのだろうが。
ストーリーにそこまでの驚きや面白味は感じなかったが、楽しい作品であることは確かである。リアルタイムで見たかった。