「圧倒的映像美で兄弟愛を描く」リバー・ランズ・スルー・イット まるさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的映像美で兄弟愛を描く
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ストーリー的には日本にもあるような家族の原風景や子の成長を描いた作品の域は出ず、正直退屈である。
が、田舎の日常の背景だからこそ風景の映像美が生きてくる。映像美は田舎の景色とブラピの美の2本柱だ。
危なっかしいブラピが危険な目に遭いそうなシーンがちょいちょいあり、そのたびに観客は心配になるが、いつも事なきを得る。それを繰り返すことがラストへの伏線であり物語の効果である。
映像美や効果技術へのこだわりを感じるが、カットの繋ぎはシーンが飛び過ぎかなと思うところもあるし、各人の人間性を掘り下げておらず、ぶつ切りな印象が残る。
先住民や主人公の彼女の兄などのエピソードに時間を割くわりには出てきては去ったきりおしまいになる。結局それらを通して、主人公家族の兄弟愛ただ一点しか描こうとしていないからだ。そしてそれも浅い。
物語はオールドノーマンの記憶であり、弟の死をも叙情詩的に描き、まさに家族の出来事がランズスルーイットして流れていく。だからひとつひとつの描きが浅いのかも知れない。
主人公ノーマン役は兄のクレイグ・シェイファーなのだが、ノーマンとしてのナレーションは別俳優で、オールドノーマンもまた別俳優というのが謎。あまり気にせずシェイファーにナレーションをさせなかったとしたらずいぶん雑だと思う。
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