「路線変更がとても残念だった」ランボー 怒りの脱出 うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
路線変更がとても残念だった
前作の『ランボー』が、ベトナム帰還兵の悲哀というか、一般生活に溶け込めずにアウトサイダーとして社会からつま弾きにされる男の、情念の爆発だったのに比べて、今回は特殊任務を帯びたスペシャリストとしての、ミッションチャレンジ・アクションに変わってしまい、その路線変更にかなりがっかりしたものだ。
とは言え、これはこれでド迫力の戦闘シーンをフィーチャーした娯楽アクション大作になっており、一人の殺人マシーンが敵を倒していく様には単純に興奮する。何も考えずに身を委ねるにはちょうどいい映画かもしれない。
この映画の成功によって『ロッキー』のシリーズにも大きく影響を与えた作品。ロッキーは貧しい移民の子供が、ボクシングでしか自分の存在価値を示せずに、恋しい彼女にも振り向いてもらえない男が、チャンピオンとの試合を通じて自分の可能性を実現したお話しだったのに、いつの間にかとんでもないモンスター相手にリングの上で対決する方向性に変わり、ボクシングの描写は置いて行かれた印象が強い。エンターテインメント路線にシフトしていったのだ。
人間ドラマから、アクション大作に路線変更して、映画は成功しても、もともとのシリーズのファンには少し寂しく受け取られたんじゃないだろうか。
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