「ふたりの樹」Love Letter Moiさんの映画レビュー(感想・評価)
ふたりの樹
感想
愛している人の死から2年。
言葉が聞きたい。だから手紙を書いた。
返事が返って来ないと知りながら。
些細な思い込みから手紙の返事が返ってくる。
そこから知る大切な人の知られざる過去。
忘れていた過ぎ去りし思い出の日々。
人間の死生観。
死んだ人の事は残された人の記憶に残り続ける。
今を良く生きる事は、今はもういなくなってしまった愛する人の分まて生きていく事。
自分だけの、人に言えない秘密の思い出。
人の本当の想いはその時々の感情に覆われ複雑になり、素直に表現することが出来ない。
特に大好き人の思い出は。
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脚本と演出・描写が詳細に創り込まれており、いつ観ても素晴らしい。また劇中の音楽が良い。
若き日のふたりの藤井樹を演じた酒井美紀さんと柏原崇さんの初々しい表情と自然な演技、カット割の効いている正面から人を捉えた描写。中学校のクラスメイトの皆さんの表情を含めた各場面がドキュメントフィルムのようにありのまま捉えられており、特に樹が転校する日に樹の家に図書室で借りたマルセル・プルーストの失われた時を求めてを返して置いて欲しいと頼みにくる場面は大好きな場面であり、素晴らしい描写でこの映画の価値を高めている部分であると感じる。
及川役の鈴木蘭々さんは違った意味で記憶に残る演技であった。
豊川さんの演技は秀逸。中山さんの演技も自然で安定していた。
この映画を観ると30年前のあの頃の自分に戻れる。気がする。
今となってはとても懐かしい。
⭐️4.5
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