「【”彼らを理解する事は無理だ・・。理解されることも・・”1757年、北米植民地での複数の原住民族と開拓者と英仏軍との複雑な関係性と、立場を超えた命を懸けた恋愛を描いた作品。】」ラスト・オブ・モヒカン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”彼らを理解する事は無理だ・・。理解されることも・・”1757年、北米植民地での複数の原住民族と開拓者と英仏軍との複雑な関係性と、立場を超えた命を懸けた恋愛を描いた作品。】
ー1757年、北米植民地の領有権を巡る英仏軍の闘いと、夫々に加担する原住民族及び開拓者の複雑な関係性を背景に、英国大佐の美しき英国女性コーラと白人だが、原住民族モヒカン族首長のチンガチェックに育てられたポー(ダニエル・デイ=ルイス)との恋愛を描いた作品。-
■印象的な事
・この時代を、複数の原住民族を絡ませて描いた作品は少なく、貴重である点。更に、英仏軍、複数の原住民族、貧しき開拓民の姿を包括的に描き出した作品のスケールの大きさ、山岳の美しき風景も作品の趣に寄与している点も良い。
・英国軍を”灰色の髪”と呼び、憎むヒューロン族のマグアの怒りの原因は途中で語られるし、夫々の立場が明確になっているので、正義(主に原住民に育てられたポー達 VS 悪(主に原住民である、ヒューロン族)という単純な図式では描かれていない部分。
・英国軍マンロー大佐の美しき娘、コーラと白人だが、原住民族モヒカン族に育てられたポー(ダニエル・デイ=ルイス)との関係性が徐々に立場を超えた恋愛になっていく過程。
・マグア達、ヒューロン族が敗走する英国軍を待ち伏せして、襲うシーン。マグアがコーラとアリスの父でもあるマンロー大佐に刃を突き立て、心臓を取り出しながら”次はお前の娘達だ・・”と更に復讐を誓うシーン。
川に逃れ、独特の形をした舟で逃げる英国軍とコーラとアリス及びチンガチェックに育てられたポーと、ウンガス。
ー追う、マグア達。ポーは途中で逃れるが、恋仲になっているアリスとウンガスは、逃走中、二人とも悲劇的な最期を遂げる・・。断崖絶壁の道を逃げるシーンなど緊張感が凄い・・。ー
・マグア達に捕らえられた、コーラや英国軍。マグアは族長に願いを申し出るが・・。族長の口から出た言葉。そして、単身コーラを助けようと乗り込むポーが言い放った言葉。”ヒューロン族は、白人と同じだ!”
そして、モヒカン族首長のチンガチェックは、ヒューロン族のマグアを殺し、ウンガスの仇を取る・・。
ー原住民族同士で、英仏軍に翻弄された結果、殺し会う哀しき姿。-
<英仏軍、複数の原住民族、貧しき開拓民、の複雑な関係性の中、恋した英国人女性コーラを助けようとするポー/ホークアイと呼ばれている・・を演じたダニエル・デイ=ルイスの精悍な顔つき、軽やかな身のこなしが格好良く、悲劇的な要素もキチンと描きながらも、滅びゆく原住民族の哀愁を描いた作品。>