羅生門のレビュー・感想・評価
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何を喋っているのか聞き取れなかった。残念。 字幕があればなー ーー...
わからねぇ
黒澤映画初心者に
世界が日本映画を認知するきっかけとなった映画史的に極めて重要な黒澤明の代表作のひとつ。
本作は橋本忍が芥川龍之介の「藪の中」を脚本化した「雌雄」という作品に同じ芥川の「羅生門」のエッセンスを加えて成立している。橋本の脚本が映画にするには短かすぎたかららしい。ストーリーはとても観念的で、分かりやすい物語しか理解しないひとには向かない。しかし映画好きなら映画が英語ではmotion pictureとも呼ばれる意味が染み込んでくるはず。
斬新なカメラワークと実験的な殺陣。セリフは簡潔で少ない。むしろ俳優の動きとそれを追うカメラがこの映画の魅力。まさにmotion picture。海外で絶賛された理由のひとつだ。
昨今のひとはモノクロの映画がダメらしい。しかし黒澤映画の多くはモノクロ。それだけの理由で観ないのはもったいない。この映画は短いし、観念的ではあるが小難しいストーリーでもない。黒澤映画を最初に観るにはうってつけ。モノクロ映画も良いとなったら、「生きる」や「七人の侍」も観てください。そして小津安二郎や成瀬巳喜男や山中貞雄の名作も。あなたの映画体験がさらに豊かになります。
考えさせられた
ラスト10分のテーマの集約がすごい。
同じ人間でも、見る人の立場によって善にも悪にもなり得る、的な映画は最近よくあるけど、
人間の心の動きの複雑さそのものについて考えさせられた。
単純に良い人と悪い人が共存してるわけではなく、両面備えてることを全員が自覚しつつ巧妙に騙し合い助け合いながら生きてる、というのがまさに人間社会のあり方なわけで。
だから、冒頭で「あんな恐ろしい話が!」と前振りがあって始まった回想場面も、終盤には「そんな話珍しくもない」と一蹴される。
確かに現実社会に比べたら揉め事レベルの出来事でしかないし。
語り手3人の中で善、悪、一般人が分かれていたのは面白かった。一般人が善に目覚めて去っていく場面見ながら、でもこの後何するかわからんよな…と疑ってしまったから、もう私も人間の良心を信じてないのかもしれない。
もっぺん観たい。
人間とは・・・
名作の誉れ高いが
『羅生門』
真実は藪の中
1950年の黒澤明映画。
当時、若き黒澤はどんな風に世間から見られていたのかは想像するしかないが この力量はスゴイ。
語り口、動と静のコントラスト、そのギラギラさ加減。
テーマそのものは芥川龍之介の小説からだとしても その伝え方、見せ方の上手さ。
羅生門にゴウゴウと降る雨の量、ぶっとい柱のごとく 描きたいモノがゴンとある感じ。
音楽も美術もそれに従うように骨太な印象。
顔に汗を浮かべギランギランした三船敏郎と静の演技の森雅之。存在自体が得体の知れない京マチ子。
役者の存在感の立ち方、立たせ方も素晴らしい。
巨匠と呼ばれる人はやはり早い段階で並ではない輝きを放つのだなぁ と感じ入った次第。
芥川龍之介の知性の鋭さ
総合:85点
ストーリー: 95
キャスト: 85
演出: 85
ビジュアル: 60
音楽: 65
「羅生門」という題だが、実際の原作は同じ芥川龍之介作品でも「藪の中」が正しい。それに付け加えて「羅生門」の話の一部を取り入れている。今作品はとにかく芥川の原作の素晴らしさに尽きる。原作は人が自分を正当化して守るためにはいかようにもなれるという、人のもつ本質的な弱さと狡さが彼の知性によってえぐりだされた傑作であった。そして羅生門を絡ませて少しばかりの救いをもたらしたのが原作との大きな違いか。
映画としてはわざとらしい演技と大袈裟な台詞回しが少々気になる。自然な演技というよりも、自分の主張をしてそれを通すために強調された演技である。最初はそれが随分と大根役者というか安い演技だと思った。
だがそれは演技者による、安い演技をする役柄を演じる高度な演技なのかもしれない。ここは誰もが嘘つきで誰一人として本当のことなど言ってはいないかもしれない世界である。自分の嘘の主張を通すための演技をする役柄を演じているのが出演者なのだから、だからこのような不自然なまでの大袈裟な台詞回しになるのかと思った。彼らは真実を言っているのではなく、嘘を言っているから自然な喋り方が出来ない。真実を隠して自分に都合のいい話をしてそれを信じてもらおうとしているからこその演技。そう解釈すればこの不自然な台詞回しにも納得がいくし、それを演じているのが凄い。
あの赤ん坊が幸せになれますように
この映画を見てるととても人というものに対してどうしようもない無力感を感じてしまいました。なんというのか、不確かなものばかり突きつけられると人間ってどうしても人間不信になってしまうのかもしれないと思いました。
とにかく三船さん演じる山賊やあの夫婦のやり取りのシーンは非常に身の毛立つほどの緊迫感があります。その3人の怪演により人間味が増し、より悍ましい。刀を抜いて殺し合う場面もどれも殺気が伝わってきます。
もう何年も前だというのにこれほどインパクトあるシーンを見ることになるとは・・・本当に鳥肌ものです。
学生のときに教科書に載ってた「羅生門」とは全然違ったように見えましたが、この映画のラストの無力感の中に芽生えた希望を見るとこっちのほうが断然いいような気もします。あの赤ん坊には幸せになってほしいものです・・・。
日本映画の至宝を生意気にもレビューします……
遂に買ったぞ黒澤映画のブルーレイ!!
昔観たDVD版はいかんせん音質も画質も悪くて鑑賞に苦労したが、BDだと新作かってくらいの修復度で顎が外れるほど驚愕。日本語字幕も助かります(笑)。
BDの宣伝はここまでにして、生意気にも黒澤映画のレビューをさせていただきます。
一つの事件を複数の視点で追ういわゆる『羅生門スタイル』の元祖であり、恐らくはそのスタイルを用いた映画の中で最も成功した例。
公開当時は斬新な撮影技法の数々で世界を驚かせたという本作だが、現代映画に馴れた僕のような若造にはその凄さはイマイチ分からず、物語のテンポもまったり見えてしまう。
が、それでも1カット1カット画面端まで力が漲っているような見事な画作りは圧巻だ。たった1つの殺人事件が、時代を超えたテーマを伝える一種の寓話としてとてつもない重厚さで語られるのだ。
原作は芥川龍之介の『羅生門』と『薮の中』。是非とも後者を読んでからの鑑賞をオススメ。
2つの作品を巧みに融合させた上、『薮の中』の結末に驚きのヒネリを加えてテーマを深化させ、人間の卑小さや身勝手さを痛烈に描きながらも、最後に一抹の希望を残すその器の大きさ。まさしく桁違いの映画だ。
真の傑作はいつの時代に観ても面白い!
未見の方は、是非。
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