「さっぱり分からない不思議な話のこと」羅生門 どん・Giovanniさんの映画レビュー(感想・評価)
さっぱり分からない不思議な話のこと
本編88分で短めです。
内容の面白さは、原作を知っているかどうかは関係ないと あらためて思いました。
今作の原作は『薮の中』(芥川龍之介の小説)ですが、『今昔物語集』に収録されている「羅城門登上層見死人盗人語」をミックスし脚色して映画化されたそうです。
『今昔物語集』を芥川龍之介が小説にした「羅生門」は、ドイツの昔話をグリム兄弟が小説にした『グリム童話集』のようなポジションです。
黒澤明監督によって映像化された今作は、『グリム童話集』に収録されている「白雪姫」を映像化したディズニーのようなポジションになるわけです。
もとを辿って 正確さを求めるとなると、原作って どれのことでしょうか?と なります。
三船敏郎さんが扮する多襄丸と真砂(京マチ子)のシチュエーションが 語り部が変わると異なります。どのエピソードが本当かどうか 或いは全員 大小関わらず嘘の証言をしているかも知れず、その答えは 曖昧なまま終わります。
鑑賞後に知的な刺激がありました。
ラスト、杣売り(志村喬)の台詞で、1人増えると 7人の子どもを育てることになる旨の 会話があります。杣売りは、木こりです。そして、彼の姿格好は 7人のこびと そのものです。白雪姫を連想したので、このようなレビューに なりました。
キャメラウォーク(カメラワーク)が秀逸で センスが良く、俳優も上手いので 没入できました。
私を含めて日本人は、ワークとウォークを逆に表記したり発音している らしいですが、日本では義務である英語も 歴史同様 さっぱり分からない と思う今日この頃です。
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