「証言のエクスタシー」羅生門 Kyojiさんの映画レビュー(感想・評価)
証言のエクスタシー
証言...没入のエクスタシー
鳴り響く早坂文雄のボレロ! 女はオーガズム後の余韻に浸るように夫殺しを懐古し、巫女に口寄せされた夫と多襄丸も過去に憑依され、感情を爆発させる。真正面やや下に据えられたカメラは証言者を壁か空という簡素な背景を背に誰もが自分のストーリーに没入していく様を映している。回想という翼を得て主観的物語にどこまでも堕ちていく一方で、藪の中で翼を得たカメラは傍若無人な振る舞いをみせ、映像を通じて証言の元となる言葉を生成する初動を捉えている。戦後に獲得された内心の自由が末法の世を告げるパンドラの箱なのかもしれない。
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