汚れた血のレビュー・感想・評価
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飛べない生
レオス・カラックス監督の「アレックス三部作」第二作。
アンナ(ジュリエット・ビノシュ)とリーズ(ジェリー・デルピー)が綺麗すぎて鼻血出そうになった。そしてレオス・カラックスはジュリエット・ビノシュをミューズだと直感したんだと思う。綺麗に撮ろうとする意志がショットに現れている。
アレックスは誰を愛しているの?
アレックスはリーズとセックスを伴う恋愛をしているけれど、彼女が危険を被ってはいけないとして捨てる。こんなにもリーズのことを想っていて素晴らしいと思いきや、アンナにすぐに目移りする。アンナとおじさんとの愛に嫉妬をするように。アレックスとアンナの一夜を共にするかの駆け引きは、彼が彼女に弄ばれていて可哀想と同時にそんなにムキになるなとも思ってしまう。
けれどアレックスとアンナに愛が現れてしまう。その愛はセックスを伴わない。リーズとの関係とは全く違う。この時、セックスのない愛は、愛のないセックスで感染するウイルスが蔓延する世界において、至高の存在として立ち現れたはずである。
しかしそれは観念的だ。現実から「飛べない」。リーズはバイクで追っかけてくるし、アレックスは銃で撃たれてしまっている。彼らは誰も「飛べない」。アンナが飛行機のふりをするだけだ。この結末はとても悲しい。ではどのように愛するの?それは『ポンヌフの恋人』で語られている気がするから、もう一度みてみようと思う。
赤や青のビビッドな色彩のドレスが一段と映える映像美が印象的
早稲田松竹さんにて「クレール・ドゥニ×レオス・カラックス×ハーマン・メルヴィル」特集上映中(24年10月5日~10月11日)。本日はアレックス3部作の第2弾『汚れた血』(1986)を初鑑賞。
同年代にデビューし、ともに「恐るべき子供たち」と称されたリュック・ベッソン監督はずっとフォローしておりましたが、カラックス監督は観念的で難解なのでずっと避け続けてましたが、知天命の年を過ぎ、食わず嫌い克服を目的に鑑賞。
“愛情を伴わない性交渉で感染するウイルス”が蔓延、ハレー彗星も近づき異常気象の近未来のパリ。閉塞的な日常に嫌気がさしたアレックス(演:ドニ・ラヴァン)が自殺した父親の多大な借金を返済するため、父親の旧友マルクたちとワクチンを盗み密売する計画に参加、そのなかでマルクの恋人アンナ(演:ジュリエット・ビノシュ)に出会い運命を感じる…と近未来SF、クライムアクション、そしてラブストーリーが混在するストーリー。
ゴダールの再来といわれるカラックス監督だけにセリフ回しが観念的で個人的には難解でしたが、寒々とした色調の統一とフィルムの質感のなかに、アンナの赤や青のビビッドな色彩のドレスが一段と映える映像美が印象的でしたね。
場内には公開当時まだ生まれてないだろう若いお客さんが多くて驚きました。
わたしも20代前後の若いときに本作を鑑賞したら、主人公に共感して全く違う感想だったでしょう。
本作同様、第3部作最後の『ポンヌフの恋人』(1991)も未配信で観れる機会がないのは残念ですね。
ドニ・ラヴァンの腹話術や疾走ダンスと人間飛行機が好き
赤の強調が激し過ぎ
モダンラブ
"Modern Love"
≪WE MEET LEOS CARAX!≫
フィルム・ノワールの世界観で進む物語に意外な展開と思いながらの序盤、描かれるのはアレックスの進展しない恋物語、カメラに追い抜かれながらも全力疾走するアレックス、そこで流れるデヴィッド・ボウイの『Modern Love』でのテンションは持続されずに『フランシス・ハ』での使い方とはまるで違うレオス・カラックスの厄介さ!?
若い頃のジュリエット・ビノシュの可愛さに驚かされながらも、ジュリー・デルピーの引けを取らない可愛さにまた驚かされ、追いかける恋と追わせる恋の狭間にいるようなアレックスの愛嬌があるようで無いような表情や態度に、若かりしドニ・ラヴァンには二人のミューズに増して可愛さが垣間見れる。
アレックスの実らない恋愛三部作、相手に死を、自分に死を、やっと実った愛情は強引すぎて死よりもバッドエンドな危うさを、ピエールもアレックスと変わらない、全てがバッドエンドなのに清々しい、全て全部がレオス・カラックスとしての分身である恋愛体質??
恐らく自分にとって世界最高級の映画なので、これまでに何度も見たしこ...
恐らく自分にとって世界最高級の映画なので、これまでに何度も見たしこれからも見続ける。「どこがいいの?」と聞かれれば全てが良いとしか答えようがない。完璧。初めて見たとき、あれは大阪のシネマヴェリテだったか?、しばらく座席から立てなかった。
映像だけなら、コダールやリンチやキューブリックを遥かに超えてるぞ‼️❓
ネオ・ヌーベルバーグ
観なければ、世界を見失う
遅れて来たヌーベルバーグ
ゴダールに近い感覚の余韻
物語には特段の意味はない
まして架空の伝染病も設定に過ぎない
特に意味はない
大事なのは映像と台詞と俳優の醸し出す独特の雰囲気
観はじめてギアが噛み合うまで時間が掛かるかも知れないが、クラッチを操作するうちにギアが噛み合い、あのバイクのように疾走しだす
夜の美しいシーンが素晴らしく豊穣
台詞も良く吟味された覚えたいフレーズばかりだ
何より主要な登場人物の配役と造形が見事
アンナが滑走路を手を広げて飛行機となって走るラストシーンは心を打つ名シーンだった
飛行機に乗る事を望んだアレックスの思いを込めて懸命に走る彼女の片頬は彼の血で汚れている
真っ赤な片頬は彼女の手で隠され、彼の死を認めないのだ
アレックスあってこそ
「ポンヌフの恋人」つながりで観賞。
アレックス役のドニ・ラバンあってこその この映画。
原作が先か、ラバンが先かそれは知らないけれど、この顔と背中を見ていれば僕でも無尽に物語が書けそうだ。
映画,comにはプロフィール写真すらなく、誕生年だけ。
でもポンヌフや裏路地にいけば、「アレックスは本当にパリのどこかに 今も生きてる」ということ。
これがヌーベル・バーグの強烈さだ。
ちなみに僕の好みはあのアメリカ女ですね。
いいわ~。年上の女、はまりました。
アンナ=ジュリエット・ビノシュも早く年をとりましょう。
特典映像の「削除シーン」が一番素晴らしい。どうしてあの美しい光景をカットしてしまったのだろう。あそこだけでも短編として完成の領域。
「オールズモビルだ」の台詞以降はカットしてでも残り部分は本編に組んでもらいたかったな。
でもやっぱ、アメリカ女が見れたから今夜は満足。
「ホーリー・モーターズ」にも"お婆さん"出てたな~と思って調べたら同じ監督だったよw
ばば専同盟
きりんレビュー
タイトルなし(ネタバレ)
片頬に塗られた血が全てを表していた。アレックスの心は既に元恋人の元を離れていた。元カノもそれを自覚した。一つ分からないのは序盤と終盤に出てきた白いドレスの婦人。
お気に入りのシーンが多い。部屋に残されたボクシングの的、飛行場での旧友との再会、序盤アレックスが仕事の説明を車で受ける際のボヤけた街灯の流れ、序盤の元カノとの装着シーン、飛行機から飛び降り訓練の跳ぶなで跳んだ所、モダンラブも。信号機のアップも大好き。
アレックスとアレックスに仕事紹介してきた仲間がお気に入り。
私も階段の一段一段に感謝するわ。
退屈で飽きる
ところどころハッとするシーンやカットがあるもののだらだらしたシーンが長くて眠くなる。仕事をいつするのか待っていてもずっとだらだらしていて、その仕事でどれほど手先の器用さを発揮するのかと思ったら全くそんな場面はなく、実に肩透かしだった。
謎の病気も物語と関係がなかった。
本当に退屈だったのでデビッド・ボウイの『モダンラブ』が掛かった時はうれしかった。
アレックスが路上に止まっているワーゲンを持ち上げてひっくり返すところで、一緒に見ていた赤ちゃんが「わっ!」と声を出して、その後2階から紙がひらひらと落ちて来る場面でうんちをした。
レオス・カラックスはあと『ボーイ・ミーツ・ガール』も見ようと思っていたけど、本当につらい。もういいや。
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