「盲目の美女が更衣室へ。 が、すぐ隣には若いが品のいい黒人男性が。 ...」悪魔のシスター りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
盲目の美女が更衣室へ。 が、すぐ隣には若いが品のいい黒人男性が。 ...
盲目の美女が更衣室へ。
が、すぐ隣には若いが品のいい黒人男性が。
さて、この後どうなるのか・・・
という、事件の顛末・その後を当てるテレビの「覗き見」クイズ。
美女を演じていたのは、フランス系カナダ人のモデル兼売れない女優のダニエル(マーゴット・キダー)。
黒人男性は、広告業界で活躍のフィリップ(ライスル・ウィルソン)。
ふたりは急速に接近するが、ダニエルの元夫エミール(ウィリアム・フィンレー(ビル・フィンレー名義))が付きまとっていた。
そして、事件が起こる・・・
といった物語で、ブライアン・デ・パルマのヒッチコキアンぶりは『裏窓』『めまい』『サイコ』『白い恐怖』などの要素を取り込むことで発揮されています。
主となるのは『裏窓』と『サイコ』で、映画の構成は『サイコ』のそれを踏襲している。
『サイコ』は、ジャネット・リー・パートの前半とヴェラ・マイルズ・パートの2部構成に近く、本作でもマーゴット・キダー・パートの前半と、探偵約ジェニファー・ソールト(地方紙記者グレース・コリアを演じる)・パートとに分かれています。
『サイコ』ではジャネット・リーの死体と彼女が持ち逃げした金の行方がマクガフィンとなるわけですが、本作では黒人男性フィリップの死体の行方がマクガフィン。
殺人事件を目撃したと騒ぎ立てるグレース(『裏窓』ではグレース・ケリーの役どころだね)によって事件は動き出すのだけれど、警察がボンクラなので一向に解決に向かわない。
最終的にはグレースが事件の源の精神病院に潜入して・・・ま、事件は一応解決の方向に向かうのだけれど、木乃伊取りが木乃伊になっちゃう、というオチは、サイコサスペンス版のアメリカンニューシネマ。
その上、フィリップの死体は最後まで見つからないどころか・・・私立探偵(チャールズ・ダーニング)が監視し続けるというギャグのようなオチまでついている。
演出は目を引くところばかりなのだが、前半2回登場するスプリットスクリーンは、かなり効果的。
これカットバックでもデ・パルマなら上手くやれたろうとも思うのだが、もしかしたら撮影した別テイクを捨てるのが惜しかった。
ならば、分割画面で繋いじゃえ!
これなら、尺も短いままだぁ、みたいな理由だったら面白いのに。
バーナード・ハーマンの恐ろしい音楽に、後半登場するモノクロの悪夢のようなエピソード。
いやぁ、脚本、結構、穴があるんだけれど、それを補って余りある映画表現ですね。
よくぞデジタルリマスターしてリバイバルしてくれたものです。
感謝。