用心棒のレビュー・感想・評価
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三船敏郎の殺陣と佐籐勝の音楽が─
七人の侍同様、この作品もいわゆる時代劇の固定観念を見事なまでにぶち壊してくれました。チャンバラではなく睨み合い・取っ組み合いのケンカ、とか、刀ではなくピストル、とか、刀ではなく包丁、とか、無敵ではなくボコられる、とか─。
とくに、佐籐勝の音楽と三船敏郎の殺陣が素晴らしすぎて、最初と最後と殺陣のシーンは何度も見たいし、そうなると全部見なければとなるのですが、内容ストーリーも文句なく面白いので都度見入ってしまいます。西部劇やハリウッドが用いてしまうのも頷けます。ただ、どんなにリメイクされたとしても、あの殺陣と音楽がなければ・・・なんて思ってしまうのですが、それはまぁ個人的な思いなので─。
ちなみに、続く「椿三十郎」は、確かに加山雄三とかラストの一撃必殺とか見どころ満載ながらも、少し上品な時代劇になっていて、この作品とは、内容は似通っていても、まるで別ものだという印象です。
三船敏郎の後ろ姿
三船敏郎の後ろ姿から始まり、後ろ姿で終わる。面白いのは、始まりと終わりの間に変化がないということです。通常、主人公の心には何らかの変化が起こります。それは成長であったり、形は様々です。しかし本作では、仕事が片付くと何事もなかったかのように颯爽と消えていきます。ここが最高に格好良いのです!つまり、彼はただ頼まれたことをしただけなのです。
この単純すぎるストーリーが何故こんなにも魅力的なのか。それは全ての登場人物が個性豊かであることです。本作をもとに『荒野の用心棒』が製作されましたが、この要素は自然と引き継がれています。
雨や風を巧みに使った演出がまた素晴らしく、所々挟まれるユーモアが作品のメリハリをつけているので、バランスがしっかりと保たれています。そして何と言っても、三船敏郎のクールな演技ですね。厳しく、時に優しく。誰もが憧れるヒーロー像を見事に確立した彼は、やはり名優であり黒澤監督が気に入ったわけです。
『用心棒』
椿には及ばないけど
やはり独特で引き込まれる。
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