「また海にもどるシチリア島の漁師」揺れる大地 あまおとさんの映画レビュー(感想・評価)
また海にもどるシチリア島の漁師
ルキノ・ビスコンティ監督/1948/伊
これが現地の素人たちにより演じられたとは。美男美女が登場するし、皆演じるのがとても個性的で上手いじゃないか! (俳優というのは役を選ばなければもしかしたら誰でもなれるのだろうか、と思ってしまう)
さて映画の中味…、これがイタリア共産党に提供する目的でつくられたということを知り、すこし複雑な気持ちになる。しかし、大方これは人間社会の現実だろうと思う。
少しでもいい暮らしをしたい人間の欲が、搾取を生み、運が悪い者は、搾取される側に回る。その状況の解決に必要なのは、そこから脱却する個人の突破力、互いを思いやる精神や信仰心、搾取を減らすための社会的な制度や仕組み、などだろうか。
ウントーニには突破力があったようだが、運に見放された。再び搾取される側にまわる。生きるために家族を養うために、また海に。不本意だろう。しかし、その働く姿は美しい、と思った。
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