劇場公開日 1990年5月

「子供の頃にみた衝撃は今も忘れない。」夢 Yoshiakingさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0子供の頃にみた衝撃は今も忘れない。

2011年5月21日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波

怖い

知的

幸せ

子供の頃に、地上波で流れていたのをたまたま見たのが最初です。
当時小学生だった僕は、テレビの中のあの不思議な映像、そして妙な安らぎと不安の入り交じる世界観に気が付けば恐怖と戦いながらテレビにかじりついて見ていました。

子供には理解できない内容の映画。

たぶん一般的にはそうかもしれません。
でも違う気がします。
決して優等生ではなかった当時の僕が、意味も分からずあの作品にのめり込んだ。
ゴッホの絵など興味なく、戦争だって知らなかった。オムニバスなんて言葉すらしらなかった。
なのにどうしてあんなにかじりついてみててたのか?
巨匠・黒澤明。彼はあんなに難解な内容を無知な子供の心にまで投げかける、あまりにも偉大な人だったのではないでしょうか。

今、福島が荒れています。
ニュースで目にするたび、僕の頭にはあの映像が出てくるのです。

上着を脱ぎ、必死に色のついた煙を払う男の姿を。
放射能物質に色をつけたってなんの意味も無いんだ…と叫び必死に煙を払うあの男の姿を。

今から10年以上前に、この惨状を皮肉っていた黒澤明。

もし彼が、ほんとうにこんな夢を見ながら毎晩寝ていたのなら、
彼の作った作品が、ことごとく名作になるのは当たり前と言うしかない訳です。

Yoshiaking