「デビルマン前日譚」遊星からの物体X レントさんの映画レビュー(感想・評価)
デビルマン前日譚
本作が素晴らしいのは当時の可能な限りのSFX技術を駆使して人間が持つ想像力を具現化しようとしたことにある。一見単なるグロテスクなホラー映画と片付けられそうであるが、そのシュールリアリスティックな映像は圧巻であった。まるでサルバドール・ダリの絵画を動く絵で見せようとしてるかのような挑戦的な作品とも言える。
間違いなくSFホラー作品としてもアート作品としても歴史に残る作品である。当時のSFホラー映画好き少年の私の心をわしづかみにしたのは言うまでもないが、最近本作を見返していて気付いたんだけど、永井豪のデビルマンて、この映画の原作「影が行く」を参考にしたんじゃないかな。
デビルマンは氷河期で氷に閉じ込められていたデーモン族が甦って人間と合体して地球を支配しようとする物語。全く同じじゃないか。ということは本作はデビルマンの前日譚的な作品ともいえるのかも。
どうせならデビルマン本編も是非ともハリウッド資本で実写化してほしいなあ。日本版のものは本当にひどかったからね。韓国映画でもいいし、平井和正の「死霊狩り」とともに映画化してほしい。まだまだ映画化されてない傑作があふれてるんだけどねえ。
物体Xと呼ばれる異星人は宇宙船に乗ってやってきたことからも、元は知的生命体だったと思われる。それが地球の環境になじめずあるいはその環境に適応するために自身を細胞レベルで変異させて、あのようになったのだろう。異なる環境で生き残るためにただ生存本能のままに地球上の他の生物と同化してでなければこの地球では生き残れなかった。
生存本能、それは生物として当たり前に持つもの、それが地球上のもう一つの知的生命体である人類にとっては脅威となる。同じ知的生命体同士、己の生存をかけた戦い。これは適者生存であり自然淘汰の戦い。
そして本作は生き残った二人のどちらかがXに乗っ取られているのかわからないまま終わる。そして本作の続編がデビルマンへと続く。