もののけ姫のレビュー・感想・評価
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ゾンビものかと思った序盤
冒頭から凄い展開だった。宮崎アニメの中ではこんなにグロいシーンの連続だった作品はないでしょう。人を殺すシーンだってある。両腕が飛び、首もはねるという強力な弓矢を引くアシタカヒコ。前半は人の醜さ、残酷さを強調するような映像だった(ナウシカも人を殺したけど、映像としてはおとなしかった)。
最初に観たときから、現代社会の構図との比較を考えてみるもののどうもしっくりこなかったものだ。西の国とサン及び山犬の対立構図以外にも中立的な生き物がいたり、どこまで神の扱いなのかがさっぱりわからなかった獅子神とダイダラボッチ。森の賢者・猩猩の中立的な存在。森を守ろうとしているのに何故タタリ神となってしまうのか・・・
獅子神=王蟲と考えれば、かなり『風の谷のナウシカ』との構図が似てくるのですが、一度では全ての関係を把握しにくいです。映像的には猪・山犬=王蟲の構図でしたからね・・・
「死ぬのは牛飼いばかり」「さらなる恨みや呪いを買う」「生きろ」といい台詞はいっぱいあるけど、タタラ場を襲う侍など、ちょっとだけ物足りないところもあったけど、ラストのダイダラボッチの映像のおかげですっかり忘れてしまいました。
すごく、いい!
観たのは、ずっと前。
いいということを、今さら言う必要もないのだが、書いておく。
キネ旬 90年代日本映画 第7位
2020/7/6 追記:コロナ禍下の劇場応援のため?、ジブリ作品一斉上映の恩恵を目一杯いただいて、スクリーン鑑賞。
ジブリ作品では、「風の谷のナウシカ」と並ぶ、超一級エンタテインメント作品。
それは、死と再生の物語。自然と人の関わり合いを描いた、傑作だ。
蝦夷(えみし)の一族の若者アシタカは、祟り神となって村を破壊しそうになった猪(ナゴの神)を倒すのだが、その際に、腕に呪いを受ける。このままでは死を待つだけ。呪いを解くには、西の国へ行き、そこで起きていることをしっかり見ることだと教えられ、西へ向かう。そこでは、人が山を削り木を倒して、鉄を作っていた。自然は、人間たちを山から追い返そうとする。人間たちの中でも、たたら場(製鉄場)と都(みやこ)の争いが水面下で繰り広げられている。アシタカは、そんなたたら場に飛び込み、山への生贄とされ現在は獣たちと共に生きている少女サンと出会う、という話。
対立する筆頭である人と自然。単純に考えれば、開発を進める人間たちが自然を破壊する悪者だ、となりがち。しかし、鉄を作っているエボシ御前は、しいたげられし女たち、売られる女たち(つまり奴隷)を解放するために、鉄を作ることで、彼女たちが生きる自活の場を作っている。このように、俺たち観ている側に、どっちが悪者で、どっちが正義の者か、といった単純な考えを許さない。
「風の谷のナウシカ」でのナウシカの役回りを担うのは、本作ではアシタカだ。
アシタカはあくまでも自分が信じる道を探す。それは、全ての者が争わずにすむ世界。
アシタカは聞く。「モロ、森と人が争わずに済む道はないのか?」
モロ「お前はどう生きると言うのだ?我々と共に戦うのか?」
アシタカ「違う! それでは憎しみが増すだけだ」
ちなみに、たたら場で女たちが、3日3晩、たたらを踏み続ける姿は、本当に生き生きと描かれ、労苦を感じさせない、素晴らしい描写だ。本作は、争いの物語なのだが、彼女たちと、ともに生きる男衆のかけあいが、全編通じて小気味よく、争いの物語なのに暗くしない効果を担っている。
本作がテーマに掲げている「生きよ!」は、どちらかの立場での生きよではなく、それぞれの立場で、どう生きるかを一所懸命に考えろ、という意味になっている。ひいては映画を観ているあなたたちが今暮らしている場所で、立場で、どう生きるかを一所懸命に考えろ、というメッセージなのだと思う。
たたら場の人間たちと、狼のモロや猪の乙事主(おつことぬし)ら自然との争い、森の象徴であるシシ神の首を狙うジコ坊たち(生首で不老不死を得られるという眉唾な情報で)の暗躍、その中で出会うアシタカとサンの行動、それらがどんな結論になっていくかは、やはり観てみてください。日本のほとんどの人が、すでに観たのではないかとすら思う映画だが、やはり結末はお楽しみに、と書きたいし、観た人もあらためて、また観てほしい。
アシタカがめざす、森と人が争わずに済む道は、宮崎監督のライフワークなのだろう。
繰り返しますが、やはり傑作映画だった!!
2021/8/15 追記
地上波のデータ放送部分で表示されていた下記のインタビュー内容は、印象的だった。
「コントロールできなくなってしまった憎悪を
どうやったらコントロールできるか」
「サンの人間に対する憎しみは消えない。でもアシタカだけは受け入れた。それでもいいから一緒に生きていこうと、アシタカはサンに言うわけですけど、この後もサンはアシタカの胸を切り裂くんじゃないですかね(笑)。それでもいいから一緒に生きていこうと言ったアシタカは、大変な受難の道を自ら選び取って、最も困難なところに生きていこうと決めた少年なんです。つまり、タタラ場の人間たちも、サンも生かしたい。山も生かしたい。でも鉄も作らなければいけないというところで、まさに現代的な、現代人として生きなきゃいけないんです。大変ですよね(笑)」
「アシタカは、好きだ。しかし人間は嫌いだ」
「サンは森で、私はタタラ場で、生きよう。会いに行くよ、ヤクーに乗って」
うなずき、去っていくサン…
好きだけれど、お互いの世界は違う。
だから、好きだけれど、お互いそれぞれの世界で生きていく…
「アバター」のように、「好きだから、自分を変えて相手の世界で生きていく」という価値観もあるが、俺はもののけ姫のエンディングのような価値観が好き。
何度見ても色あせない
昔、私はもののけ姫がトラウマだった。
冒頭に出てくる山の化け物のシーンは気味が悪く目をつむっており、その後の話をまともに見れなかったのは良い思い出だ。
しかし社会人になって改めて見ると昔とは異なった感情が芽生えてくる。
何というかこう、一言では表せない感覚だ。
まぁ強いて言うならサンの声優の石田ゆり子は美人だよなぁ。
開始10分で心をわしずかみ
共に生きよう
第21回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作。
"金曜ロードSHOW!" で久しぶりの鑑賞。
ジブリ作品で、「風の谷のナウシカ」と同率1位なくらいに好きな作品。圧倒的な熱量で展開するストーリーが面白く、考えさせられるテーマも相まって何度でも観れてしまいます。
深いところで交わっていながら、相反する要素もある人と自然の関わり。生きる意味と云う主題も盛り込んで壮大なファンタジーに練り上げた宮崎駿監督の作家性に圧倒されました。
ジブリ作品では珍しくエグいシーンが多いのも特徴。初めて観た時衝撃を受けました。そして、キャラに生命力が溢れていました。立場の違いから生じる衝突に心揺さぶられました。
滅びと再生が一気に訪れるクライマックスが圧巻。無慈悲な部分に関しては、人も自然も大して変わらないかも。全てが解決したわけでは無いが、希望を持てるラストでした。
[以降の鑑賞記録]
2021/08/13:金曜ロードショー
※修正(2024/03/07)
洞窟でアシタカが目覚めた後の、モロとアシタカの会話が最高。 全然噛...
洞窟でアシタカが目覚めた後の、モロとアシタカの会話が最高。
全然噛み合ってなくてダブルコミュ症。
どちらもひたすら話したい事を話すだけという異次元トーク。
そして最後はどちらも怒りだすというマジキチっぷり。
最初のタタリ神のインパクトと異次元トークはいつ見てもなんか好き
頭の中に残り続ける
美輪明神のビブラ〰️ト
小さい頃から何度も見たけど、歳を重ねて見るからこそ良い 共に生きる...
何を見せたいのかわからない
昭和以前の日本的な感性を集大成
日テレ(金ロ)/劇場で鑑賞した当時は、まだ中学生だった。人間によっ...
宮崎映画のやや男向け作品
非常に評価の難しい作品
歳
自然と生きる 人間と生きる
今日で入院生活丸1週間。
つまり、何も見れてない…。ちょうどレンタルでも『我は神なり』『ドリーム』『ガンダム・ORIGIN』、劇場でもいささか評判イマイチのようだが『マンハント』など、見たいのが出始めた時だったので、ショックは尚更…。一体いつ見れる事やら…(>_<)
また、私事だが、レビュー累計2000本到達間近にして、レビューがいつ再開出来るのか分からずストップしたままなのも悔しい!
…って事で、暫く過去に見た作品の思い出しレビューを。
自分がレビューを書く際のポリシーとして、絶対見てすぐ書く。その時思った事、感じた事を、後々読み直して駄文に感じても、大事にしてるからだ。
なので、過去作品で何度も何度も見て、見なくてもレビュー書けるくらいメッチャ好き!…っていうのも、実はほとんど書いた事無い。(書いた事あるとすれば、ゴジラシリーズかな…??)
自分の記憶力のみが頼りなので、作品によって、長文になったり、概要だけになったり、簡易レビューになったりするかもしれませんが、ご容赦を(>_<)
さて、プレイバック! まずは…
思い出しレビュー1本目。
『もののけ姫』
言わずと知れた宮崎駿を興行100億円超えの国民的スーパーヒットメーカーへと押し上げた1997年の作品。
明らかにこの作品以前と以降で世間の宮崎に対する視線も変わり、線引きされる印象になった、色んな意味で記念碑的作品。
本作や本作以降の宮崎映画はクソだとまで言われてるようだが、自分はこの作品が大好きだ!
構想・製作にたっぷり時間をかけただけあって、ダイナミックなアクション、高らかなヒューマニズム、深遠なテーマなどなど、宮崎の魂がひしひしと感じ伝わってくる。
なかなかハードでシリアスなのに当時の興行記録を塗り替えたんだから、驚き! 客に媚びなくても、監督が訴えたいもの、作りたいものを心血込めれば、客にも絶対伝わる代表例だ。
OPのタタリ神襲撃シーンから引き込まれる!
旅立つアシタカ。久石譲の雄大な音楽が素晴らしい。
屋久島がモデルである神秘的なシシ神の森。
そして、女たちが力強いタタラ場。
真っ直ぐで真面目な主人公、アシタカは、作品の世界にぴったり合っている。
サンの凛とした美しさ。
人間側のキャラ描写も深い。
何と言っても、エボシ。タタラ場を仕切る女ボス。物語の展開上敵役のイメージで、自然を殺す人間の象徴そのものだが、一方で疫病にかかった者を自らの手で手厚く看護する。
人の一筋縄ではいかない善悪を体現。
中盤、サンとの一騎討ちのシーンも何と様になっている事か!
勿論、田中裕子の声の演技が素晴らしい。
卑しい人間キャラは、ジコ坊だろう。シシ神の首を狙う張本人。他人を利用したり、騙したり、クライマックスのあんな場面でもシシ神の首を諦めないもはや執念! キャラ的にコミカルなので、何故か憎めない…。我々人のあさましさを最も表しているからか…?
自然を守る獣神たちの偉容。
モロ! 美輪明宏のあの声のあの台詞こそ本作一番の興奮!「黙れ、小僧!」
エボシの首を狙っており、首だけになっても動く最期は凄まじい!
サンを愛しており、彼女への眼差し、語りかけは優しい。
本当に本作は、“女性”や“母”が強く描かれている。
それに対するような、荒々しい乙事主たち。
そして、シシ神…。
クライマックスはシシ神が落とされた首を求め暴走するが、一定の着地となる。
自分のリア友に言わせると、ここが嫌いなんだそうな。
何も解決してないじゃん。一方が一方を殺して、それで終わりでいいじゃん。
いや、それは幾ら何でも…。
テーマは、自然と人間の共存。永遠の課題。
それに簡単な決着などあるものか。
あの終わり方もいいと思うし、自然と人間は何度もぶつかり合いながら、歩み寄り、今も共存の道を探し続けている。
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