劇場公開日 1997年7月12日

「「生きろ」宮崎駿監督からのメッセージ」もののけ姫 ホラー好きさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「生きろ」宮崎駿監督からのメッセージ

2022年1月26日
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鑑賞後にう〜んと考えさせられる映画。
山を荒らされ怒り狂う神々の気持ちも分かるし、生きていくために山を切り開くタタラ場の人たちの気持ちも分かる。
まさに今、私たちが置かれている現実と同じ。
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自然を失えば、私たち人間も生きてはいけない。山や森、自然とどう共存すべきか。
人と神々の中間に立つサンやアシタカの姿を通じ、問題を突きつけられる。
アシタカが何度も訴えるのは「共存」そして、どんなになってでも「生きろ」監督が伝えたいテーマはシンプルだ。
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映画そのものに目を向ければ、風景の素晴らしさは、さすがはジブリ✨なだらかな山々に豊かで深い森。美しき大和。
古き神々に精霊。
神話好きには、原始日本の世界観がたまらない。
シシ神は何を考えてるのか分からないが(めっちゃ空気読んでない振る舞いが面白い😂)そもそも神とはああしたもの。人智の及ぶところではない。
神殺しにより、私たちは闇を、畏れを、信仰を失う。
これは、かつて日本で起こったこと。技術が進み、闇を払拭したことで、日本から神や妖怪が消えた。
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映画にさらなる奥深さや広がりを与える久石譲の音楽も素晴らしい。
(今回は特に音響のよい映画館を選んで見た)
声優もとても良かった。凛々しいアシタカ、歳を経た山犬のモロ、短い出演でありながら、森光子演じる巫人は映画の導入部分で強いインパクトを残した。
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観客はアシタカと共に、古き神々が、大和が滅ぶのを目の当たりにし、これからどう生きるべきか、自然と共存できるのか、
投げかけられて終わる。
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自分の見た衝撃を、どうにも上手く伝えられないことが歯がゆい。
公開当時は映画館に通い、3回観た。もう見られないと思っていたのに、まさかの4回目。

この映画を初めて見た時に、非常にナウシカと似てると思った。
蟲が古き神々であり、ナウシカがアシタカ。
宮崎駿の原点回帰というか、彼が人生を賭けて伝えたいテーマなんだろうな。

ホラー好き