劇場公開日 1997年7月12日

「生きろ」もののけ姫 かえる代理人さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0生きろ

2016年10月4日
iPhoneアプリから投稿

森と人間の対立。
人間に捨てられ、人間を恨むことで生きてきたもののけ姫サンの苦悩。自然と人間の共存を望み、戦う青年アシタカ。人間を憎みながらも、我が子同然にもののけ姫を育てる中で葛藤する犬神。

この映画には解決が困難な問題を抱え、苦しみながら生きているキャラクターが沢山出て来る。

ハンセン病患者が、「エボシ様は私達を人間として扱ってくれた、だから殺さないでくれ。」とうずくまりながら語るシーンがあり、これは見ていてかなり辛い現実を感じる。正に解決困難で迫害に会いながらも、ただ1人優しくしてくれた人がいてくれることに心から感謝している。

程度は異なれどみな辛い現実を抱え生きる中、「生きろ、それでも生きろ。」というメッセージを強く感じた。

全てを受け入れ、人間や生まれ持った体調を憎み、苦しみ、もがき続ける人生であっても、生きて欲しい。
そう強く言われた気がした映画だった。

アシタカが犬神に放った「サンを救えるかはわからない、だが共に生きることは出来る。」
この言葉の力強さと温かさ、何があっても相手に何も出来なくても、そんな自分を受け入れ共に生きる。

現実のむごさと温かさを感じるお話でした。

かえる代理人