劇場公開日 1995年3月4日

「海外のミュージカル映画はオリジナル音声で」メリー・ポピンズ 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5海外のミュージカル映画はオリジナル音声で

2021年10月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

1964年の作品
日本公開は翌年
『メリーポピンズリターンズ』は映画館で観たが本家『メリーポピンズ』を最初から最後までしっかり観たのは今回が初めて

原作未読
原作と映画ではポピンズの人物像がだいぶ違うらしい
子ども向けに改変する際によくあることだ

場所はロンドン
時代は1910年エドワード朝

『メリーポピンズリターンズ』もそうだが洋画のミュージカルは音声はオリジナルで字幕に限る
子ども向けなのでディスクの方は設定を変えないと吹き替え版になっている
吹き替えでミュージカルだと自分は興醒めだ
だけど昔の声優は今と比べてかなり味がある
アニメオタクじゃなくても楽しめる
リターンズよりはだいぶ良い
それでもまずオリジナル音声で観ることを薦めたい
それから吹き替えを観るべきだ

沢田研二がジュリーなのはジュリー・アンドリュースが好きだからだ
ピーナッツや田中裕子とはだいぶ違うがまあいいだろう
そのジュリー・アンドリュースがメリー役で主演
ジェーンとマイケルという幼い姉弟の乳母として2人の子の父親に採用される

メリーポピンズは魔法使い?
傘を開いて空から降りてくる
ライバルを吹き飛ばす
歌唱力と不思議な妖術でジェーンとマイケルのハートを鷲掴み
つかみはOK

魔法使いというより不思議な世界の案内人ってところか
不思議な世界の扉を開けるだけ
魔法使いなら箒で空を飛ぶだろうし魔法で人を小動物に変えてしまったりするだろうがそんなことはしない

CGなんて無かった時代にめくりめく不思議な映像はお見事
1964年を考慮すれば子供騙しのレベルではなくどんな大人でも大抵は十分に楽しめるはずだ

ジェーンとマイケルなんて昔の映画の教科書みたいだ
演じた子役2人の表情が素晴らしい
天才子役だ

コミカルな大道芸人バートも良い
「笑い方を決められない人」は特に好き
芸人だけじゃ食えないので真っ黒なって煙突掃除をやったりする
演じたのはディック・ヴァン・ダイク
なぜか銀行頭取と一人二役

住宅地で大砲をぶっ放す提督と部下のコンビをなぜ地域住民や警察や市長は野放しにしているのか疑問である
メリーポピンズやバート抜きでも充分に変な世界である

ディズニーだけあってアニメーションとのコラボも良い

すぐに続編も検討されたが原作者がとても強情な方だったらしくディズニーにOKを出すことはなくなかなか実現しなかった
映画化に向けていろいろと条件を出した挙句に完成品には不満タラタラだったそうだ
自分もウォルト・ディズニー社の方針はあまり好きじゃないのでパメラ・トラバースという人物に俄然興味が湧く

義足のスミスなどジョークの意味がわからず全く笑えない
アメリカンジョークだけでなく大元のロイヤルジョークもつまらない
デーブ・スペクターが面白くないのも無理はない

仕事はゲーム感覚でやれば良いらしい
仕事を趣味にしなさいと言う人も世の中にはいる
なるほどそういう考え方もありだが仕事ははつまらないからといって無料アプリのように簡単に削除するわけにはいかない

風向きが変われば別れは突然に
老頭取がジョークで笑い死んで理不尽な理由で銀行をクビになったジェーン&マイケルの父親は凧揚げ大会で重役として銀行復帰を通達される
誰にも見送られることなく傘をさして空に飛び上がるメリーポピンズ次はどこに行く

野川新栄