「実はちょっと苦手」めまい(1958) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
実はちょっと苦手
犯人追跡中に高所恐怖症のめまいに襲われ、同僚を死なせてしまい、刑事を辞めたジョン。知人から不可解な行動を取る妻マデリンの監視を依頼され、やがて惹かれていく…。
アルフレッド・ヒッチコックの1958年の作品。
数あるヒッチコック作品の中でもとりわけ人気の高い名作。
と同時に異色作でもある。
二人は恋に落ちるが、マデリンは教会の塔から謎の自殺。高所恐怖症で助けられず自責するジョンの前に、マデリンそっくりの女性が現れる…。
殺人らしい殺人シーンも無い、陰謀らしい陰謀ストーリーも無い。失われた愛に囚われ、取り戻そうとする男の姿を描いたスリリングなラブストーリー。
取り憑かれたように狂気じみていく主人公の行動は、金髪美女に異常に執着するヒッチコックそのもの。
主人公がめまいに襲われた時のクラクラする映像、主人公が見る悪夢の表現など、その凝った演出は素晴らしいが、ヒッチコックのフェチズムや変態嗜好も色濃く反映され、好き嫌いが分かれる。
名作ではあるが、実は個人的にちょっと取っ付き難く苦手なヒッチコック作品。
キム・ノヴァクは妖艶。
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