劇場公開日 1982年3月20日

「トラボルタ主演作品で涙するとは!」ミッドナイトクロス あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0トラボルタ主演作品で涙するとは!

2018年9月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

原題はBlow out (パンク音)
元ネタはミケランジェロアントニオーニ監督の欲望、原題はBlowup(現像)
本作の邦題ミッドナイトナイトクロスではそのニュアンスが伝わらない

元ネタの方は偶然殺人事件の現場が写り込んだ写真を撮ってしまったカメラマンの話
本作は偶然殺人事件の現場の音を録音した音響マンの話

元ネタはせっかく面白そうなサスペンスのモチーフを使い切らず1960年代半ばのイギリスの盛り上がる若者文化の様子を映画に撮りたいがための方便として使われるにすぎず、そのサスペンスはほったらかしで映画が進みサスペンス自体尻切れトンボで終わってしまう

本作は、元ネタがそんな面白そうなモチーフを使い切れないなら自分が使うとばかりにデパルマ監督が思いっきりサスペンスで撮った作品
おかげで欲望でのサスペンス欠乏の欲求不満は大いに解消された

音響マンという設定がまず大いに活かされる展開が素晴らしく、どんどん引き込まれてしまう

トラボルタの主演抜擢もヒロインとの関係性を持たせる上で大いに説得力があった
そして演技力にも、こんなに上手かったのかと目を見開かされた

クライマックスの花火大会のシーンはあまりにも美しい名シーンとして心に残るもの
トラボルタ主演作品で涙してしまう破壊力を持っている
そしてラストシーンの悲鳴のテープ
デパルマ監督の非凡な才能を思い知らされた

本作には、終盤近くで大きな駅、スローモーション、大階段というシーンが続く
そう本作の数年後にデパルマ監督が撮るアンタッチャブルのあの大階段を思い付くヒントはここにもあったのだ

また冒頭の学園スリラー物の試写はデパルマ監督のキャリーを思わせてニヤリです

あき240