「傷心イーサン」ミッション:インポッシブル movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
傷心イーサン
当時小学生の私には、
手動ワイヤーで宙吊りになり、床スレスレで大の字バランスをするシーンよりも、
信頼して慕っていた先輩スパイが早々に血みどろで「イーサン」と橋から後ろ向きに落ちるシーンの方がグロテスクで衝撃的だった。
スパイごっこと言えば、手をオペ!の位置に掲げて「イーサン!」。
ジョンヴォイトと言えば、血まみれおじさんかアナコンダ、いつも裏切り者、のイメージが強すぎて、暫くしてアンジェリーナジョリーが出てきた時には美しさがジョンヴォイトとは似ても似つかなくて、信じられなかったのを覚えている。
・燃えて消えるミッションメッセージ
・箱芝居
・組織内の裏切り者に騙されたふり
・宙吊り
・顔がブルブルするほどの強風
・ハッキング
・乗り物へばりつき
・マグネットクライミング
・マスク芸
・咽喉や目玉など急所ギリギリの刃物
などシリーズに毎回欠かせない要素は満載なのだが、
バイクと運転とベンジーはIIから。
若い若いトムを観られるが、今や当時のトムと同年代。
もう守る側になっているので、イーサンのような無茶は無理。
同じように当時の両親世代の大人達も、日頃背負っている責任を降ろして、身軽なイーサンと疾走感を味わっていたのかな?などと思うようになった。
初期のルーサーで浮かぶのは、2のミッション準備で飛行機で再会するシーン。イーサンが嬉しそうにするのと同様、私もとても嬉しかった。
毎作ルーサー推しをしている。
久々に1を見たら、決して自分がハックしたと自慢しないし(悪事なので)、目先の欲に踊らされないルーサーが1作目から健在で、とても嬉しく誇らしい気持ちになった。ベンジーの方が年月が感じられるが、1のルーサーも、若い!
NATOのネットワーク破りをした世界一のハッカーの元スパイが、裏切り者扱いされ追われるイーサンに呼び戻されて大活躍。使うPCのスペック指定。
ジャンレノがレオンに続き汚れ役なのだが、本作では短期で行動が荒削りだし、吊るしたトムクルーズのワイヤーをアナログで引っ張るし、裏切り者側に仕込まれていながら目先のお金にがっつくような役回り。
今では「トムクルーズの」MIシリーズで、1作目には存在感抜群大物のジョンヴォイトやジャンレノも出ていたなんてある意味貴重だし、イーサンシリーズが軌道に乗るかなりの景気付け。
ヨブ記3章14節を作戦名とし、武器商人マックスに、スパイのコードネームファイルと対応する本名ファイルを売りに行くゴリツィンを書い手とセットで捕まえて、ファイルを盗み出すはずの作戦だったが、イーサンチームはイーサン以外生き残らなかった。
上司のキトリッジが、実は、裏切りスパイのあぶり出しを仕掛けていて、作戦はおとり内容だったから。
しかし、作戦内で謀反を働きイーサン以外を殺したジムと、その妻クレア。
女性に激甘イーサン、ジムの裏切りには気付いても、クレアがグルかもとは最後まで確信が持てず、マスクまで被って確かめた。
辛いなぁ。信頼しているメンバーが信頼していたメンバーに裏切られて殺された。信頼していて綺麗だなとも思っていたメンバーは、裏切り者の夫ではなく、自分を裏切った。しかも、ヨブを名乗る裏切り者のジムは、そうまでしてグルになっていた妻クレアをいざとなれば撃って自分だけ逃げようとするサイテー。
妻クレアの魅力作戦でイーサンをころっと騙す作戦だったようだが、イーサンは綺麗だなとは思うも、お色気に負けてジムの妻に手を出したりはしていない。
キトリッジの動機を嘘吹く時に「ソ連との冷戦が終わりスパイ不要となったが、遺されたのは飽きのきた妻と年金62,000ドル」などと吹聴していたが、ジム、クレアにも飽きたのか?
でもどうにか、当初のミッションをコンプリート。
リストも入手し、買い手のマックスも捕まえることができた。
PC画面はマイクラですか?ってくらい画素が粗いけれど、ネット上の共有ファイルは今も使われている。
うっそフロッピーですか?!ってなるけれど、
眼鏡のつるに仕込めるほどの小型カメラは現代も健在。
顔マスクの存在はかなり一般的になってきた。
作中では公衆電話か大きな携帯電話だが、スマホの現代も妨害電波はいまだ健在。
30年弱経ってもリアルな物もある当時最先端がすごい。
ジムが機密情報を流して儲けてスパイ組織を裏切る動機に、「時代の変化でソ連との冷戦は終わり、スパイは無用になった。遺されたのは年金だけ。」