「核の脅威と極限状態の人類の選択を描く映画」未知への飛行 といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
核の脅威と極限状態の人類の選択を描く映画
「名作映画」として名前が挙げられていたのを見掛けて鑑賞しました。
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コンピューターの故障により「モスクワに水爆を投下する」という誤った指令を受け取った米軍爆撃機。全面核戦争を回避するためにモスクワに到達するまでの間に繰り広げられるアメリカ政府の行動を描く作品。
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全く内容を知らない状態で観たのですが、鑑賞中、ストーリーが「博士の異常な愛情」と似てるな~とずっと思ってました。DVDの特典映像を観てみると、あまりに似すぎているので「博士の異常な愛情」サイドから訴訟を起こされたという話も出てきて、「やっぱりな」という感じ。両作品の比較映像とかも観られるので、特典映像は必見です。
「通信断絶された核爆弾搭載の戦闘機がロシア(ソ連)に向かうのを何とか阻止しようとする話」という大本のストーリーは全く同じなのですが、その事案がどのように起きてしまったか・どのように止めるか・最後に取る決断など、2つの作品には違いが多くあり、シチュエーションが同じだけで全くの別映画のように感じました。
「博士の異常な愛情」はコミカルに、「未知への飛行」はシリアスに核の脅威を描いています。
衝撃的だったのはラストシーン。ネタバレになるので詳細は伏せますが、グロなどの直接的な表現を使わずに核の恐ろしさを最大限描ききった最高のシーンだと思います。
藤子F不二雄先生の短編作品である「ある日……」という漫画でも、似たような脅威が描かれています。
「『ある日』は突然やってくる。「伏線」など張るひまもなく。説得力のある「破壊」などあるものか。ある日がいつくるか・・・・・・今日にも・・・・・・」プツン
個人的には「12人の怒れる男」にも出演していた大好きな俳優「ヘンリー・フォンダ」が極限状態で選択を迫られる大統領の役を熱演しているのもポイントが高いですね。
「博士の異常な愛情」では緊急事態に慌てふためく大統領が描かれていましたが、今作の大統領は常に冷静で周りへの配慮を忘れない紳士として描かれていました。そんな今作の大統領が、ラストでどのような決断を下すのか。ここがこの作品の一番の見所ではないでしょうか。
核の脅威を知る日本人だからこそ感じることがあるかと思います。多くの人に観て欲しい名作でした。オススメです!