ミシシッピー・バーニングのレビュー・感想・評価
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「私にはもう与える愛は無い。あるのは怒りだけだ。」
元群保安官で叩き上げのベテラン、アンダーソンと、ハーバード大出のキャリア組エリート、ウォードが、捜査方法で対立しながらも3人の公民権運動家失踪の真相に迫っていく。
冒頭の、水飲み機が白人用・有色人種用と別れているシーンから、少しでも捜査に協力した者は、KKK(白人至上主義団体)によるリンチ、焼き討ちにあうなど、黒人を人と思わない白人たちに終盤までムカムカさせられる。
ウォードの、法を尊守する捜査に限界がきて、ブチキレたアンダーソンの違法捜査で犯人たちを追い詰めるクライマックスは痛快!の一言。
だが、痛快だけでは無い重いテーマ、アメリカのタブーである人種差別に鋭く突っ込んだアラン・パーカー監督の力作です。
実際にはFBIは活躍していないどころか、捜索に非協力的だったらしいし、違法捜査で罠にはめる際に出てきた黒人捜査官も、1964年時にはいなかったそうだが、人種差別は決して許さない!というテーマをしっかりと伝えている以上、本作の価値が下がるとは思えない。
アメリカでは、アフリカ系アメリカ人初のオバマ大統領が誕生したが、選挙戦時、南部の州のほとんどは、対立候補のマケイン(アイルランド系白人)が勝利していた。という事実から、決して過去の話しでは無く、現在も差別の根は残っていると認識した上で観てほしい作品です。
ほんの数十年前までアメリカはこれだけ無法地帯
総合:75点 ストーリー: 75 キャスト: 75 演出: 75 ビジュアル: 70 音楽: 70 ディープ・サウスの人種差別は近代国家とは思えないほどのものだったという話も聞くし、この映画で行われていたようなことが実際に十分起きていたのだろう。町長も警察も裁判所もみんなが差別主義者なのだから、焼き討ちがあろうと殺人があろうと好き放題やり放題。突然夜に家に押しかけて黒人を引きずり出して集団暴行したり、家に火をつけたり、そのような社会での差別をそのまま直接取り上げていて迫力がある。 そのような敵対的な環境ではありきたりの方法で捜査が出来ないとなれば、非合法なきついやり方も容認してしまうというのも当然という気がする。その手の役をさせたらハックマンはまさに適役で、結果を出すためには手段を選ばずのたたき上げの捜査官を演じ、しっかりと吼えてこの閉鎖的社会に風穴を無理やり開けていた。
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