「演出が古いし、全体的に評価出来なかった」マルタの鷹 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
演出が古いし、全体的に評価出来なかった
総合40点 ( ストーリー:45点|キャスト:55点|演出:25点|ビジュアル:55点|音楽:60点 )
マルタの鷹というから欧州の話かと思いきや、サンフランシスコが舞台だとは思わなかった。
ハンフリー・ボガードは、相棒が突然死のうが依頼に来た女と突然キスをしようが訪ねてきた男に突然銃をつきつけられようが、いつも何があっても平然としていて態度が変わらない。そして銃をつきつけられるような危険な状況となっても、迫力のない格闘で悪党を殴れば相手は簡単に一発で気絶して倒れ込む。自分は撃たれないし死なないという物語の筋がわかっているから、自分は大丈夫で何事にも動じず主人公としての演技を邁進していますといわんばかりで、自分が命の危険にあるという緊迫感がまるでない。この演技と演出は古すぎて、現代の映画を見慣れているとまったく評価できない。
オーショネシーにカイロにガットマンに船長と、こちらから調査したり出向かなくても勝手にむこうからやってくるし、物語もずいぶんと主人公に便利なものだ。だいたい船長はどこにでも隠せたはずなのに、なぜ切り札の鷹をわざわざ信頼できる味方とは言い難いばかりか、そもそも会ったことも話をしたことすらないボガードのところにもっていこうとするのか理解出来ない。会ったばかりの怪しい嘘つき女に簡単に恋愛感情を持つようだし、交渉の場面も大金と命がかかっているという気がしない。
最後のほうは多少盛り上がり、オーショネシーの迎える結末がちょっと面白いくらい。ハードボイルドの基本ともなった有名作品ということで期待していたが、特に評価できるところもなかった。今では基本から発展して基本よりもはるかに優れた良い作品がいくらでもあり、自分にとっては本作は名前倒れのくだらない作品だった。