「14歳から晩年まで同一人物に演じさせるのは無茶。」マリー・アントワネット 孔明さんの映画レビュー(感想・評価)
14歳から晩年まで同一人物に演じさせるのは無茶。
フランス革命の悲劇の、いや「悪」の象徴のように捉えられているやたらと知名度のある王妃様のお話です。
が、この映画「ヒドイ出来」ですね。
簡単に言いますと「皿に山盛りのケーキバイキング」みたいな作品です。
おいしいのは最初の一口・二口だけ。その後は「胸やけがしてきてうんざり」します。
まず、アントワネットがオーストリアからフランスのルイ王太子に嫁いだのは彼女が「14歳」のときですよ!。
なのに作中の彼女のどこが14歳だ!どうみても最初から20歳を超えているでしょうが!
↑この彼女の変わらない容貌は王妃が子供を生んで革命直前のラストまで続きます(唖然)。
劇中の彼女は全然「愛らしくもない」ので、オバサンが騒いだりしてるとしか感じられません。
さらにお相手の後のルイ十六世も2歳年上だけの16歳で、結婚初夜からなんかマリーと「お互いに知りつくしていて、しない」みたいな描写です。
今で言うところの「中学生」くらいのまだ子供のはずの2人ですよ。もっと互いにぎこちないはずなのに・・・・・。
で、ルイ十六世の性的不能によりマリーは嫁ぎながらずっと処女のまま過ごすことになる。
口さがない宮廷に出入りする貴族たちの中傷や実家であるオーストリアのハプスブルグ家からの「世継を産め!」の催促。
精神的に追い詰められでストレスの溜まるマリーは、仮面舞踏会やらパーティーやらドレスに靴に髪型にお菓子にと贅沢な遊びに捌け口を求める。
おかしいのはフランスの宮廷内で誕生日に人物の口から「ハッピー・バースデー」(笑)なんて英語が飛び出してくること。(フランス語は?)
さらに現代風のアメリカ音楽が流れるに至っては・・・・・・失笑するしかない。
登場する人物の数だけはやたらと多く、常に画面に人が洪水状態。
ルイ十五世が崩御し、ルイ十六世が即位するとマリーもフランス王妃に。
しかし・・・相変わらず処女のまま。
ようやくマリーの兄のヨーゼフ2世がウェルサイユを訪問した際に義弟・ルイ十六世と話し合い(手術の末に)性的不能は解消されることとなる。
そしてマリーはようやく妊娠し、後継者を産み落とす。
が、生活態度は改まらずポリニャック伯爵夫人などのお気に入りに甘く、スウェーデン貴族のフェルゼンと危険な関係に。
このフェルゼンが・・・・なぜか渡辺謙さんに似ている・・・・・。
そうこうしているうちにアメリカ独立戦争での援助金などが負担になり国家財政は破綻寸前。
今まで全くお話には登場してこなかった「民衆」が騒ぎ出し(笑)、革命の火の手が上がることになる・・・というところでいきなり終了(え?)。
最終的にこの映画は何が言いたいのかがサッパリ分からない作品になってしまった。
雰囲気だけの「なんちゃってマリー・アントワネット伝」を制作したらこうなりましたよ。みたいな感じです。
観たら後悔しますよ。時間の無駄です。観ないほうがいいです。
