「14歳の王太子妃の負担」マリー・アントワネット リボンさんの映画レビュー(感想・評価)
14歳の王太子妃の負担
史実は概ね知っていたので、この映画ではどう表現するのかな、と思って見て見ましたが、
人物像や宮廷の人々との確執や各事件の深掘りは無く、さらっと流れて代わりに衣装やスイーツなどを堪能する、マリー・アントワネット写真集を見てる感じでした。
最初に登場した寝室が、柵付きでめっちゃ豪華だけど身分の高い人は誰でも入れるし、朝の着換えだけでなんか10人くらい居るし
彼女の浪費の前にこの人数の侍女がいた時点でそもそもヴェルサイユ宮殿は浪費済み。この侍女達を2人ぐらいにして朝食時の楽団を止めるだけでも経費は浮くのに、と、宮殿のそもそもの無駄遣いはよく分かる表現でした。
その豪華寝室が、民衆から逃れるために逃亡したあとは見るも無惨な姿となり、その対比は良かったんですけど、
いっそこういう経費だけもっと焦点当てるのか、人物模様に焦点当てるか、はっきりさせたらもっと面白くなったのに、と少々残念。
衣装や無駄なお付の人数や、出産まで見せなければいけないとか、生活様式はよく分かりましたが、そういう「フランス貴族の豪華生活ご紹介動画」になってしまっていて、何か胸を打つとか心に沁みるとかそういう脚本にはなってなかったのが惜しかったです。
でも、彼女は14歳で嫁ぐ際、慣れてる侍女も飼い犬も離され服も全て着換えさせられ、10代後半はひたすら世継ぎ産めばっかりのプレッシャーで、いくら王族の義務とはいえ大変な10代だったなあ、と改めて思いました。
世継ぎがいなければこの結婚は失敗、世継ぎがいなければあなたの立場は不安定って。。厳しい世界。
現代なら中高生ですから、お母さんの手紙やたまに来る兄の進言はあっても、このプレッシャーから逃れるように浪費や遊びに夢中になることを彼女自らその歳では自分を制御しきれないだろうと感じます。それが彼女にもフランス国民にも悲劇なんですが。。
映画としては、綺麗な衣装や舞踏会の映像を見るには最適だと思いましたが、宮殿から逃げるところで終わるので、ちょっと脚本のぶつ切り感はあるな、と思います。