「誘いの光」幻の光 uzさんの映画レビュー(感想・評価)
誘いの光
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個人的傑作である『ワンダフルライフ』より前に是枝監督が撮った、長編デビュー作とのことで。
確かに現在に繋がる部分は見られるものの、まだ色々手探りだなぁ、とは感じた。
まず、全体として散文的に日常を切り取っており、物語として意味のあるカットは多くない。
それなのに、奥能登へ嫁ぐ際の駅のカットのように何も起きない長回しが散見される。
逆光によるシルエットの画もやたら多い。
そばかす、灯油、緑の自転車など、郁夫との生活を想起させる場面も沢山出るが、効果は薄め。
服の明度がゆみ子の心象を表していたと思うが、それもあからさま過ぎた。
演技も、子役をはじめ総じてレベルは高くない。
ただ、高齢者はみな芝居っぽくないドキュメンタリー的な自然さが出ていたと思う。
江角マキコは『ショムニ』のイメージが強かったので、いちゃいちゃシーンなんかは新鮮。
浅野忠信もこの頃は薄めのイケメンなのね。
柄本明は、食事のシーンでも一人縁側で煙草吸ってたりしたので、人には見えない妖精か何かかと。笑
正直ストーリーとして語ることはあまり無い。
郁夫が自死した理由も明かされないし、「光」の話だけで「良い陽気」になるというのもアッサリ過ぎる。
ただ何となく映像として説得力があるのは不思議だ。
引退や逝去によりもう見られない俳優が多く映っているだけでも観た価値はあった。
『怪物』のトンネルのシーンは、今作のセルフオマージュだったのかな。
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