「奥能登が舞台」幻の光 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
奥能登が舞台
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次々と愛する人を亡くしてしまったゆみ子(江角)が子連れで向かう奥能登。輪島の小さな村に住む民雄と再婚するのだ。
ゆみ子の息子・勇一と民雄(内藤)の娘・友子が仲良く輪島の自然を駆け巡る。ロケハンの天才!地元の者であっても、こんなに美しい風景は見たことがない。その後、淡々とした家族の映像が続くが、大阪に出て地元には戻ってこないと思っていた民雄の侘しさや、失意の中にあっても民雄を愛していこうと努力するゆみ子の姿が妙にリアル。
半年後、弟の結婚式のために尼崎へ里帰りしたゆみ子は再び前夫郁夫(浅野)を思い出す。輪島に戻ってからも悲しみが増大してくるのだ。折りしも漁師仲間の1人が戻ってこなかったことも相まって、自分の周りの人間がどうして死んでいくのか悲観的になったりする。
「夫郁夫の自殺の原因は何だったんだ」と悩む姿はちょっと危険な雰囲気。能登の寂しい海が不思議と美しい。「光に誘われたりするもんだ」という慰めの言葉はどれだけ効果のあるものかわからないが、ほんのちょっとした一瞬にも死に誘われることがあるのだろう。この作品を観て前向きに生きていこうと考えが変わるとも思えないが、優しく見守ってくれる人さえいれば何とかなるのかな
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