「男の性」幻の光 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
男の性
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男が死に近付こうとするのは、男の本能なのかもしれない。
DNAが男を誘うのだ。だから男はバイクに乗り、山に登り、戦場を目指して、死を慕う。
ふとした帰り道、男は理由なく彼岸に渡ってしまう。
この身に覚えのある心の揺らぎは僕だけのものではなかったんだな。納得させてもらったこの映画だった。
カニ取りの老婆は泳いででも生きて帰ろうとした。
かたや舅は、水平線に光を見つつ生きて戻ってきてしまったことに茫然としている。
これこそが男と女の断絶だ。
「自殺は残された者により多くの傷を残す」とその残酷さを知ってはいても、また3万人の年間自殺者がここまで減ってきてはいても、
本能の囁きに振り返る男は、一定数、決してなくならないのだろう。
"レミングの一斉入水"を自然の摂理と受け入れるなら、いくつか立ち合ってきた死をも、僕は静かに受容できるのかもしれない。
重たいが慰めを示してくれた作品だった。
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