劇場公開日 2002年9月14日

「愛する人を失ったその後に焦点」まぼろし kakerikoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0愛する人を失ったその後に焦点

2014年10月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

難しい

海で、突然目の前から消えてしまった夫。事故なのか、自殺なのか、失踪なのか??観ている私たちにも訳が解らず不安になる。こんな別れ方は誰だっていやだ。
シャーロット.ランプリング演じる中年女性の内面だけにスポットを当てて深く鋭くわけ入っていく感じが凄いと思った。最愛の人を突然失う哀しみや苦悩に向きあうことは普遍的なテーマ。彼女が夫の死と向き合うまでのプロセスとして、まぼろしと共存することは現実から逃げるためではなく自分の失われた人間性を取り戻すために不可欠だった気がする。
波打ち際のラストシーンも印象的。何より大人のエロティズム漂うS.ランプリングの美しさ。神経がむきだしになっても、不安と孤独に縛られたマリーが再び涙を流せるまで…彼女の名演が光っていた。

sonje