間違えられた男

劇場公開日:1957年6月19日

解説・あらすじ

無実をはらそうと逃走を図るヒッチコックお得意の虚構サスペンスとは一線を画す作品。監督自らが冒頭に登場し「真実のストーリー」であることを告げている。金を借りるために生命保険会社へ出向いたマニーは、以前入った強盗犯と間違えられ拘束される。高額の保釈金を支払い、妻と共にアリバイ立証のため奔走するが……。鉄格子ごしの風景など、主人公の視点で構成されたカメラワークや、少ない台詞で無実の罪に混乱した悲壮感がリアルに描かれている。

1956年製作/105分/アメリカ
原題または英題:The Wrong Man
劇場公開日:1957年6月19日

スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5 娯楽系サスペンスからはかけ離れた実録ドラマの決定版

2020年4月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「知りすぎていた男」と「間違えられた男」はヒッチ作の中でも間違えられがちな二大邦題として知られる。でも実際に見比べるとジャンルは根本から異なり、前者が娯楽サスペンスなのに対して、本作はリアルな実録ドラマのような構成。それゆえ、いつものように油断させておいて観る者をあっと驚かせる演出は、ここには皆無だ。私たちはただ、冤罪のために誤認逮捕されてどん底に落ちていく男の人生を見つめ続けねばならない。その雰囲気を壊さないためなのか、カメオ大好きなヒッチコックも、今回ばかりは冒頭でストーリーテラーとして顔を出すのみ。

ただしこんな中でも、不意にカメラが留置所の小さな「覗き窓」をスルリとくぐり抜けたり、ちょっとしたカメラの動きが感情の揺れを捉えたり、随所にキリスト画や十字架といった宗教的なモチーフが盛り込まれるなどの趣向が興味深い。ヒッチコック作品の中でもちょっとした異色作として受け止めうる一作だ。

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牛津厚信

4.0 変わっていく状況により飽きさせない。

2025年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 ヒッチコックらしく終始緊張感のある面白い映画だった。最初の取り調べの不利な状況、一旦収監されるも保釈金を支払い釈放、主人公独自での捜査、病む妻など、変わっていく状況に続きが気になり飽きさせない。主人公が周囲から信頼されている人物だとしっかり示しているから、彼にも強く感情移入して観てしまう。無駄の無い秀逸な映画だ。

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根岸 圭一

5.0 『十二人の怒れる男』にリスペクトさせた様に感じる。

2024年9月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

4.0 ヒッチにしてはハードな造り

2024年5月1日
PCから投稿

フォンダ先輩は当然ながら圧倒的な完璧演技ですが、スチュアート、グラント両先輩みたような軽妙洒脱、都会的洗練とは全く違う、ひたすら深刻な印象です。
先輩のキャラクターに加えて、実話の映像化にこだわり過ぎて全体の構成が壊れてしまった、とヒッチも認めているようです。
確かに並みの監督なら十分面白い作品ですが、ヒッチファンがヒッチを期待するといつものサスペンスなのに華やかな独特のタッチは見当たらず、フィルムノワール的な陰鬱さが目立つ作品に感じる点は否めません。

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越後屋