「ハリウッド映画ながら、松田優作も高倉健も良い味を出していたのが嬉しい」ブラック・レイン Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッド映画ながら、松田優作も高倉健も良い味を出していたのが嬉しい
リドリースコット監督(エイリアン等)による1989年製作のアメリカ映画。原題:Black Rain、配給:UIP。
松田優作の遺作として有名だが、初めての視聴。優作が、暴力団員で親分に逆らってのし上がろうとする凶暴な犯人役を演じている。笑みを浮かべる様な表情と殺しの残酷性のギャップが際立ち、バイクに乗る姿もさまになっており、この映画が最後となってしまったのは非常に残念。
主な舞台は大阪だが、猥雑さが強調されているせいか色調なのか、何処か外国のチャイナタウン様に思えてしまう映像で、不思議な印象を抱いた。
アンディ・ガルシアがクラブで抜群のリズム感で “What'd I Say”(レイ・チャールズ)歌うのには感心しきり。流石に高倉健の声合わせには似合わない感も感じたが、それを含めて生真面目感とそこからの脱皮する姿は、かなり好演に思えた。これが、4年後の「ミスター・ベースボール」出演に繋がったということか。
主人公マイケル・ダグラスとクラブの女性ケイト・キャップショーの絡みは良く分からなかった。彼女は何故ダグラスをあれだけ助けたのか?一目惚れ的恋愛感情でもなさそうで、数年住んでいてもあくまでガイジンと扱われるとぼやいていたので、日本社会の外に置かれる存在に、同士的なものを覚えたのだろうか?どこか知的な雰囲気を見せていたが、彼女がその後スピルバーグ監督の奥さんになるんだと少し感慨を覚えた。
松田優作の親分演ずる若山富三郎は流石の貫禄。高倉健の官僚的な上司役神山繁もなかなかの好演であった。
監督リドリー・スコット、製作スタンリー・R・ジャッフェ 、シェリー・ランシング、製作総指揮クレイグ・ボロティン ジュリー・カーカム、日本側ラインプロデューサー水野洋介、日本側キャスティング室岡信明。
脚本クレイグ・ボロティン、ウォーレン・ルイス、撮影ヤン・デ・ボン(ダイ・ハード、氷の微笑等)、美術ノリス・スペンサー、衣装エレン・マイロニック、編集トム・ロルフ、音楽ハンス・ジマー。
出演
マイケル・ダグラス(ニック・コンクリン)、アンディ・ガルシア(チャーリー・ビンセント、ゴッドファーザーPart III 等)、高倉健(松本正博)、ケイト・キャプショー(ジョイス)、松田優作(佐藤浩史)、若山富三郎(菅井)、神山繁(大橋)、ジョン・スペンサー(オリバー)、ガッツ石松(片山)、内田裕也(梨田)、小野みゆき(みゆき)、ルイス・ガスマン(フランク)、國村隼(吉本)、安岡力也、島木譲二。
共感ありがとうございます。
ケイト・キャプショーは違和感ありましたね、何かもっと裏切りぽいポジションかと思いました。
優作さん、意外と出番が少ない気がしました。健さん、ダグラスと並んで誇らしかっただろうなと考えるとしんみりします。
今晩は。
いつもありがとうございます。
今作の故、松田優作の起用は、リドリー・スコット監督が私の大好きな故、森田監督の「それから」を見て決めたという事を覚えています。
”え、あの高等遊民、代助を演じた松田優作を、残虐な”サトー”に抜擢したの!”
リドリー・スコットの慧眼に驚いた記憶があります。
故、松田優作の身に纏っていた狂気性を見抜いたのかな、と思いましたね。では。返信は不要ですよ。