「『石炭は過去のものなんだ!』今は?」ブラス! マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
『石炭は過去のものなんだ!』今は?
ベースは『リトル・ダンサー』そのもの。
そうさ!『石炭は過去のものなんだ!』今は?
フリューゲルホルンと言えば、チャ
ック・マンジョーネの『フィール・ソー・グッド』を思い出すね。
『次回のお見舞いは時間内で、トランペットなしでね』
『ユーフォニアムだ』
最後の優勝の時の演奏曲がロッシーニの『ウィリアム・テル序曲』実に巧妙な演出だと思う。普通はロビンフッドでしょ。彼はアーサー王伝説の人物で、イギリスでは伝説的英雄。しかし、何故、ウィリアム・テルなのか?スイス建国の英雄に当たる訳だから、イギリスとは無関係。作曲者もイタリア人。ウィリアム・テルである理由。それは我が子の命をかけて、頭に載せた林檎を射抜く。ウィリアム・テルの選曲は、その『壮絶な悲惨さ』を強調したいのだと思う。だから、このあとの父親の『演説』が効いてくる。そして、誰も聞いていないところで、プライドを持って『威風堂々』で締めくる。彼等は職を無くし、山ほどの不幸を背負ったが、ブライドと音楽を無くしていない。
だがしかし、彼らの問題は何一つ解決されていない。
日本の映画で炭鉱閉鎖を描いた『家族』と言う映画があった。その映画は、この映画の様に解決されない問題は山ほどあるが、子牛が産まれる事で、再生を表している。
日本とイギリス映画のDNAの違いがよく分かる。
『クラウン』が演じる手品を見ている女のコの左の鼻から鼻水が滴り落ちる。一心不乱な所が実に良く表せられている。そして、
その後、また、クラウンが子供の前で『神?こいつが何をした。ジョン・レノンを殺した。残酷なサッチャーを残して』とダイレクトな台詞を吐く。
しかし、それは神に対する冒涜であり、演出家は子供達の顔を映す事はなかった。流石と思った。
傑作だ。