「【苦しくとも”威風堂々”と生きる炭坑夫魂と彼らが奏でる演奏が魅力的な作品。当時、炭鉱閉鎖政策を推進していたサッチャー政権に怒りを叩きつけた作品でもある。】」ブラス! NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【苦しくとも”威風堂々”と生きる炭坑夫魂と彼らが奏でる演奏が魅力的な作品。当時、炭鉱閉鎖政策を推進していたサッチャー政権に怒りを叩きつけた作品でもある。】
ー 今作の内容は巷間に流布していると思われるので、久しぶりに鑑賞した感想をシンプルに記すー
・グリムリー炭坑閉鎖に抵抗する、1881年から続いているグリムリー・コリアリーバンドのメンバーの苦しみ、悲しみがキチンと描かれている。
・グリムリー・コリアリーバンドを率いる指揮者ダニー(ピート・ポスルウェイト)の音楽愛に惹かれる団員達の姿。
- ダニーが倒れた時に、病室の前で皆で演奏するシーンは沁みる。-
・アンディ(ユアン・マクレガー)は、久しぶりに町に戻って来たグロリアの見事な演奏を聞き、彼女と良き仲になるが、実は彼女は会社側からレポートを書くために送り込まれた事が分かり、自棄になってトランペットを賭けで失ってしまう。
・ダニーは、病に倒れる前からロイヤル・アルバート・ホールで行われる”全英ブラスバンド選手権”での優勝を夢見ていたが、3000ポンドの出場料すらバンドメンバーは支払えない。
それだけではなく、ダニーの息子フィルは家を抵当に取られ、妻子も出て行ってしまう。
- フィルはピエロに扮して小金を稼ぐが・・。-
・グロリアは会社幹部から”炭鉱閉鎖は2年前から決まっていた。”と聞かされ、自ら会社を辞め、退職金を3000ポンドの出場料として提供する。
■今作の白眉のシーン
・ロイヤル・アルバート・ホールで行われる”全英ブラスバンド選手権”で、見事に優勝したグリムリー・コリアリーバンド。
スピーチを求められたダニーが、政府に対して”我々は真面目に働いてきた人間だ!”とスピーチし、トロフィー授与を拒否するシーンである。
(しかも、別のメンバーがチャッカリ、銀のトロフィーを持って帰る・・。)
<炭鉱の町の人々が喜び紙吹雪舞う中、凱旋するシーンも良い。
時代の趨勢だったとはいえ、労働者を軽んじる政権は、ロクなものではないのである。>