ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのレビュー・感想・評価
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この映画を観るのと観ないのとでは、人生の価値が変わってしまうような...
音楽を愛し、音楽で愛される老人たち
2023年末に私の心を揺さぶったPERFECT DAYSのビム・ベンダース監督作を観てみようと思い、最初に選んだ作品。(2024年鑑賞4作目。U-NEXTで視聴)
キューバの老ミュージシャン達の人生とハバナの日常風景、そしてレコーディング風景やステージでのショーを織り交ぜたドキュメンタリー映画。
ドキュメンタリーでも、編集次第でドラマティックにもエモーショナルにも仕上げることが出来るはずだが、一人一人のミュージシャンのインタビューとプレイを紹介しながら淡々と進む。特別な編集テクニックを駆使しているようには感じない。誰でも撮れそうである。
いやしかし、この監督でなければ、この映画は撮れなかったのではないか。
何を撮るか、という題材選びで既に1歩抜けている。そしてカメラワーク、映像と音楽の組み合わせ。特に、ビム・ベンダース監督の音楽センスは尋常ではない。上手く表現できないのだが、音楽の使い方、切り取り方が素敵すぎる!
監督の話ばかり書きすぎた。
ミュージシャン達は一人一人それぞれ貧しかった。彼らが生きた時代、国も貧しかった。しかし、音楽を愛し、老いてもなおステージに立ち、気負いなく、プロの演奏と歌を披露して心から音楽を愛する姿を観客に見せてくれる。その姿にコンサートの観客は魅了される。そして映画を観る観客も魅了される。
ラストのNYカーネギーホールでの晴れ舞台。ミュージシャン達の最高のパフォーマンスと誇らしげで楽しそうな姿は、輝いて見えた。
音楽好きは是非。人生に彷徨っている人も是非。
サルサ「BUENA VISTA SOCIAL CLUB」すきにはたまらない映画
おどろいたのは監督。
「ビム・ベンダース」は、ある意味伝説のひとでもある。
ぼくはなぜか「CUBAN SALSA」すきだ。その音楽には光の湿った影がない。きっとそんなことはないんだろうけど、貧しくとも、アメリカから経済閉鎖されても、彼らはキューバで音楽を生きている。彼らの「誇り」と思いたい。
ヘミングウェイはその海で椅子を置き新聞読みバーでダイキリを飲んで過ごした。そんな写真の彼がすきだ。アフリカの狩猟写真や戦争の写真よりもずっとずっと、すきだ。
あるときキューバがすきになった。葉巻を吸って「ハバナクラブ」を飲んで過ごした。「BUENA VISTA SOCIAL CLUB」曲はその自分のすべてを思い出せる。。スペイン語が分からないのに、その質感がずっといまでも残っている。
日本人のぼくはキューバで暮らすことも彼らになることもできない。その意味で日本人としての国家の「自由と義務」を信じている。国家を失った民の「自由」はイスラエルやいまはウクライナ(毎日涙をながしている)を見れば理解できる。
彼らの「自由」に過去もいまも、祝福を願っている。
自由は、戦ってやっと得られる金貨だ。頭を下げて得られるわけがない。
キューバでの音楽と人生
1999年の公開当時はキューバ音楽のブームだったように思う。
老練のミュージシャン達が、必ずしも音楽一筋では来られなかった各々の人生を振り返る、その語り口が淡々としていたことと、バンドを組んで再び音楽を奏でる喜びに浸る姿が印象的だった。
ふと懐かしくなって再見したのだが、カーネギーホールでの演奏はやはり味わい深かった。
【音楽と共に歩む人生の豊饒さを見事に切り取った、キューバ音楽ドキュメンタリー作品。】
今作を鑑賞したのは、2000年頃であろうか。
ヴィム・ベンダース監督が、キューバ音楽のドキュメンタリー作品を作ったと聞いて、半信半疑で観に行った。
結論から言うと、ヴィム・ベンダース監督よりも、当時平均年齢60歳越えの、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのメンバーの方々の人柄、顔に刻まれた深い皺と、インタビューに引き込まれた。
彼らの多くは、10代(人によってはそれ以下)から、貧しい中でも、楽器を奏でていたというコメントを、嬉しそうに述べていた。
50年以上、人生の傍に、自らが奏でる音楽が有ったという事である。
何より、彼ら、彼女らのステージで楽しそうに演奏する姿は印象的であった。
そして、98年の、NYのカーネギーホールでの彼らの晴れ姿には、天晴とさえ思ったモノだ。
<今作の18年後、「ブエノ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス」が劇場公開された時は、驚きと嬉しさでイソイソと劇場に足を運んだモノである。
物故者も多かったが、彼らの映像や当時も第一線でヴォーカルを担当していたオマーラ・ポルトゥオンドさんの元気そうな姿を含めて、音楽を奏で続ける人生とは良いモノであるな、と思った記憶がある。
そして、今作鑑賞時には購入しなかった(出来なかった・・)、「BUENA VISTA SOCIAL CLUB」を購入し、車中でブリティッシュ・ロックンロールを掛ける中で、偶に流している。
お気に入りは勿論、”Chan Chan"である。
玉に瑕は、「BUENA VISTA SOCIAL CLUB」を掛けると、ノンビリ運転になる事であろうか・・。>
【音楽の原点への旅】
この作品は、キューバの老ミュージシャンや人々へのインタビュー、そして、老ミュージシャンの演奏を見せながら、キューバ人のアイデンティティとは何かを見せているのだと思う。
この作品は、キューバの老ミュージシャンにスポットライトを再び当てることになったミュージシャンのライ・クーダーが、ヴィム・ヴェンダースの友人だったことがきっかけて撮影されることになる。
序盤に、今でも敬愛されているカストロや、チェ・ゲバラの写真が写されるが、キューバ人のアイデンティティは、力を誇示するような独立の逸話では決してないし、特定の民族や人種が拠り所とする宗教や神話、当然、民族や人種主義者の与太話でもないし、銃や軍隊の保持手もないことは明らかだ。
きっと、この国に住む人々が、貧しくとも支えあい、平等で穏やかに暮らし、そして、音楽とともにあるという極めてシンプルな事こそが、彼らのアイデンティティなのだ。
それを侵されることには単純に抵抗して闘うのだ。
だから、トランプは、この人たちをきっと恐れ、オバマが開いた対話の窓口を閉ざしたのだ。
でも、キューバの人々はとても率直だ。
カーネギーホールでのコンサートのために訪れたニューヨークで、老ミュージシャンのフェレールが、「ニューヨークはずっと憧れの地だった」と、「80歳を過ぎて、これから英語は勉強するよ」と話す。
彼らのアイデンティティは、イデオロギーとは異なるところにあるのだ。
近年、アイデンティティと称して、イデオロギーを振りかざす連中が散見されるが、この人たちの自由さは、本来の人の在り方ではないのか。
そして、こうした明るさや自由さは、あの悲しくも優しい、リズミカルなキューバ・ミュージック「ソン」の源泉なのだ。
老ミュージシャンとは云え、歌声も演奏も瑞々しく、太陽が輝くようだ。
彼らの多様性は、年齢も関係ないのだ。
最後に映されるいくつかの看板「この革命は永遠だ」、「カール・マルクス」。
この地だからこそ、ソ連共産主義や中国共産主義とは全く別物の、多様で平等な人々の間にカール・マルクスの本来の思想が根付いたのかもしれない。
「夢よ、いつまでも」
多様性が前提の公平な社会、人を選ばない音楽。
この二つは、然るべくして、この国でアイデンティティとなったのだ。
音楽やる者、やらざる者
──人生でステキなものは金じゃない。女と花とロマンスだ
ラテン音楽好きな人向け
総合50点 ( ストーリー:10点|キャスト:50点|演出:50点|ビジュアル:70点|音楽:80点 )
それほどラテン音楽を聞かない自分にとって、このような音楽を演奏者のことを知りながら聞く良い機会になった。華やかで完成度が高い音が楽しめる。こういう音楽が好きな人にはいいだろうし、そうでなければ退屈な作品。
まずはライ・クーダーに敬服
最高かよ!
ムジカクバーナ
どうしても中盤は寝る
1999年の作品なのにずいぶん画像が荒いと感じた。カメラの進歩もここ数年劇的なものがあると実感。15年以上だからそうか。
当時はビデオでレンタルした記憶がある。今やBlu-ray、もしくはオンデマンドなどだもんナー。
正直、当時も今も見ているうちに何度か寝落ちしました。キューバ内をギラギラ下格好で歌いながら歩いたり、ギター弾きながら歩いたり、波打ち際でトリオ等、凝った演出にどうしても馴染めなくてつまらんと思ってしまう・・・せっかくのキューバ音楽がキューバに合わない感じがしてしまうので・・・むしろそれが狙いか─確かに、キューバから忘れ去られようとしていた人たちであるから、事実馴染んでなかったわけだ。その音楽はむしろニューヨークのネオンに馴染んでいる気がする。
最後になってイブライム・フェレールが「ニューヨークが好き、昔からの憧れ」と話し、そして「音楽に幻滅して引退した、音楽で何も得られなかった」と語っていることこそが、キューバ音楽の現実だったのではなかろうか。
しかしながら、あのカーネギーホールでのスタンディングオベーションには当然ながら大きな感動─イブライムの表情が涙をそそる。これで彼らの栄光は永遠のものとなったわけだ。
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