フルメタル・ジャケットのレビュー・感想・評価
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神様キューブリックの視点〜ベトナム戦争編〜
公開当時、数多くのベトナム戦争映画が作られたと思いますが、スタンリー・キューブリック監督がそれらをまとめて一刀両断にしてくれた傑作‼️構成としては二部構成‼️殺人兵器として猛特訓を受ける新兵を描いた前半と、彼らがベトナムで実際に体験する地獄のような戦場を描いた後半‼️まず前半‼️何といっても鬼教官ハートマン役のリー・アーメイがホントに素晴らしいです‼️凄まじい威圧感とFワードの連発‼️そして兵隊たちへランニングの時にかける掛け声‼️股間を押さえながら "これぞ我が銃、こっちは我が大砲!!" ‼️サイコーです‼️イカれてます‼️そしてデブで落ちこぼれな新兵パイル役のヴィンセント・ドノフリオ‼️ハートマンの超シゴきに精神を病んでしまう‼️夜中にトイレで実弾を装填しながらの恐ろしいニヤけ顔‼️あぁ、もうトラウマ‼️そしてハートマンを射殺した後、口にライフルを突っ込んで自殺‼️狂気の怪演‼️これぞ戦争です‼️そして後半‼️マシュー・モディーン扮するジョーカーはヘルメットにピース・マークと "ボーントゥ・キル(殺すために生まれてきた)" の文字‼️ミッキーマウスのテーマを歌い、戦場を闊歩する‼️殺すために鍛えられ、殺すためにベトナムの戦場に送られ、ビルから凄まじい腕前の狙撃手に狙われ、狙撃手との凄絶な戦闘を繰り広げる‼️狙撃手を追い詰めたジョーカーたちが見たのは、まだ若い少女だった‼️祈りを捧げながら死んでいく狙撃手の少女‼️ホント衝撃‼️ホントに恐ろしくて無意味な戦争‼️神様キューブリックが描くとこうなります‼️息をつめて、正座して、この映画に向き合いましょう‼️
ナイスな挿入歌 さすがキューブリック
完全被甲弾
フルメタルジャケット→完全被甲弾。鉛剥き出しの弾は、人体に入ると変形が大きく、深手を与えるので戦場では、完全被甲弾を通常使用するということらしい。自分が、この演題から受け取ったのは、戦争のために洗脳を受けて、強靭化することで、人間としての変形を小さくするというイメージだ。封切りされて鑑賞して以来、2度目の鑑賞。
前半、新兵になるための訓練は、人間性の破壊だ。指導官のハートマンのしごきは、徹底的で、その罵詈雑言は、性的な言葉のオンパレード、家族を辱め、原初的な生存欲求が剥き出しの状態になるように仕組まれているかのようだ。デブのレナードが、皆に遅れをとり、面倒を見てくれたジョーカーにも見捨てられ、狂気の眼を宿していったのが一つの見所だった。精神がメタルジャケットを帯びることができず、人間性のコアな部分まで、破壊されてしまったのだろう。
後半は、一転してベトナム戦争の現地の生々しい現実が映し出される。まるで、ハートマンの罵詈雑言をそのまま映し出したかのような戦地。兵士同士の会話も現地人との出来事も、性的、暴力的なウィットとジョークのオンパレード。米国で恵まれた生活をしている国民が、ベトナムで戦うためには、あのような訓練と罵詈雑言が必要だったという感じがした。
そして、戦闘シーンは、遠くから攻撃してくる南ベトナム兵との交戦シーンばかり。他のベトナム戦争と違って、肝心の相手の姿や表情は、ほぼ描かれない。見えない敵が、いつ銃撃し狙撃してくるかわからず、怯えながら進む。次第に罵詈雑言やジョークは影を潜めて、兵士たちの現実的な言葉が交わされるようになっていく。
フエ市への侵攻の場面、進路を間違えるというヘマをして、進路変更のため偵察に出たエイトボールが狙撃され、助けに出た兵も同様に。前進して無線連絡をしようとした所でカウボーイも狙撃され、相手にお礼参りをしようと建物に乗り込む。ジョーカーが相手と対峙するがライフルが弾切れ。味方の兵が相手兵を射撃したら、狙撃兵は綺麗な目をした若い女一人だった。ベトナム兵は、家族や知人が殺され、自分らを守るため、相手への憎しみを募らせて戦っている。米兵のようなフルメタルジャケットを帯びる訓練など必要がない。
かたやどんなに訓練をして前線に送られても、米兵は相手に怯え、一人の命を助けるために味方が助けにいくという戦い方の違いが対照的。ベトナム兵と比較して、決死の覚悟がなく米兵の脆弱な感じが透けて見える。
最後、ジョーカーが狙撃兵を殺したのは、殺戮者と平和を望む二面性を残した彼だったからこそ、相手に対する情けだったのだろう。彼は、自分の人間性を保っていたのだ。最後、ミッキーマウスの歌を歌いながら行進して終わる。これもフルメタルジャケット、人間性を守るための行為ではないだろうか。
この映画、とかく前半の訓練所のシーンが話題になるが、後半のシーンを、前半とどう絡めてどう解釈するかが、キューブリックの言いたかったことだろうと思う。現段階で、自分が読み取ったことは以上に述べたことである。
「時計じかけのオレンジ」、「シャイニング」に比べると、ちょっと大人しく感じたのは、他のベトナム戦争の映画を見慣れたせいかもしれない。「地獄の黙示録」と並んで、戦場で戦うためには狂気が必要だという意味では双璧の映画かと思う。
色褪せない戦場に放り出されたような臨場感
キューブリックの映画は2本しか見ていない。
「シャイニング」「2001年」いずれも今日まで語り継がれる不朽の名画。でも、正直、娯楽作品としては純粋に楽しめないし、コンディション次第では熟睡してしまうほどの退屈な映画にも思える。
問題は、そのテンポにあるのだろう。基本的に長回しで、大げさな演出が入らない。それによって現場に緊張感が生まれ、観客はまるで事件の渦中に居合わせてしまった野次馬のような好奇心にとらわれる。
家の近所に救急車やパトカーが大挙押し寄せれば、誰だって様子を見に行くし、懸命に事態を把握しようとするだろう。断片的な情報がその場を飛び交い、なんとなく事態の方向性を理解したところで手を打って、その場を立ち去る。翌日の新聞でどうやらこれこれの事件だったらしいということを知るが、自分の見たものとの差異はいかんとも埋めがたい。
圧倒的にリアルな戦場空間を作り出し、そこに観客を置き去りにする。まるでベトナムに行ってきたような気分になり、報道されていることと差があることに驚く。そんな気分にさせてくれる映画だと思う。驚異的なのは、奥行きの隅々まで、セットが作りこんであること。この映像が30年前のものなのだ。どれだけお金かかってんだと思う。今なら、CGで補えるような細部まで、ちゃんと動いている。しいて言えば、画面がクリア過ぎて、逆にリアルじゃないように見えることがミスと言えばミスショットなのか。普通は見せたくないものに適当に汚しを加工して隠してしまうのだろう。霧とか、煙とか。
ただし、字幕で鑑賞したのだが、確実に放送禁止な4文字言葉が連発されるのはいかがなものか。これも戦場のリアルということで許されるのだろうか。特にR指定のような注意も見当たらないのだが、子供に見られたら、なんとなく気まずい。それも含め、新兵訓練は大幅に割愛してよかったんじゃないかと思う。
本格的な戦争映画
軍隊に入って精神をやられて自殺する人一人。総督?の罵声の内容がすごい…。
自殺したパイルの演技力がよかった。
後半はベトナム戦争だが、敵がスナイパーの少女一人で苦戦していた。前半がすごかっただけに後半が尻すぼみした感じがあるが
後半も普通によかった。
「微笑みデブ」や狙撃手少女の鋭い閃光が頭に鮮明に残る
2022.93本目
最初の45分間からして至極。
まず、1人ずつ頭を刈って坊主にしていくシーン。一人一人個性に溢れていた髪型がみな同じものになっていくのが、個人としての尊厳を失っていくようにみえた。
士官学校時代は、映画の結構な尺をしめていて、ここがメインといってもいいのではというくらい印象的。
みんな腕立てしてる中でドーナツ食べてるシーンとか、すごい頭の中に残るシーンがたくさんある。笑
あとはやはり、「微笑みデブ」の顔つきがどんどんと変わっていく様に目が離せなかった。そして「フルメタルジャケット」のシーン…!彼自身がフルメタルジャケットだった…。悲しくも格好良いシーンだった…。
ベトナム戦争からのシーンは、個人的には少しダレたけど、特に後半の狙撃手との攻防戦は緊張感があった。
そして狙撃手女の子の、「shoot me」の言葉…。
とにかく、とにかく悲しい。
ミリタリー映画にあまり耐性がなくて、ちゃんと最後まで見きれるか心配だったけど、
終始、緊迫感や生々しさや、人間の悲しさや美しさに目が釘付けになった。
重い絵や展開に反して、音楽が軽いのもよかった。
カメラワークが、ジョーカーたちがまわしていたカメラと同じような?まるでホームビデオかのような?かんじで見られたので、そこにいる人間たちに触れるのではないかと思うくらい全体を通してリアルだった。
独特な翻訳と歌が印象的
・訳が独特な言い回しが多くて、理解が追いつかずぼんやりしてしまった。何かでそこにもこだわりがあったとかなかったとかで、多分そうだろうと思った。
・兵士たちが歌う歌が印象的だった。ラストのミッキーマウスは何だか笑ってしまう。
・訓練のほぼいじめみたいな内容がしんどく、デブと呼ばれてた人が案の定、病んで教官を撃ち殺したところは、これは戦争なのか、日常の延長の事なのか、すこし考えさせられる。
・ベトナム戦争の予備知識がなかったので、少し勉強してから見れば良かった。
一回見たらいい
前半は教官が新人隊員に、聞くに耐えれないほどの下ネタの喝ばかり。怒鳴り声ばかりで聞いてて疲れる。
後半は戦争映画らしい戦闘シーン。
ただベトナム兵のスナイパーが最後自分を撃てなんて言うか?しかも最後はミッキーマウスマーチを歌いながらの前進って意味不明
南ベトナム解放戦線戦士が殺してほしいなどと言うはずがない。
あの2001年宇宙の旅を撮ったスタンリー・キューブリック監督にしてはセットがチープだ。ベトナムと言えばジャングル。故に、火山灰の様な場所にセットを建てて、そこでアクションしている。なんか戦争ごっこの様に見える。黒澤明監督の乱の影響があるのかもしれないが。この市街戦がフエだとすると、ベトナム解放戦線が市民を虐殺したとされるフエ虐殺を象徴してかもしれない。しかし、その事件は推測の範囲。だから、この地を選んで、アメリカ人監督が映画にしているのは、アメリカの制作側に意図的な事があると思わざるを得ない。フエは南北の国境の様な町。北ベトナムと南ベトナムが戦っているのだから、北ベトナムが南ベトナムに対して虐殺を行っていないとは言わないが、戦争であり、今でも、科学的検証はされていない。
また、南ベトナム解放戦線戦士が『殺してほしい』なんて言う訳かない。その覚悟があれば、自爆して米兵を巻き込む。
さて、エンドロール直前に平和の象徴の様なミッキーマウスの歌を登場させせている。それもフィクションだろうが、僕はその点を特に評価したい。ミッキーはベトナム戦争以前から、微妙なキャラクターとしてアメリカ人(アメリカ兵)には愛されていた。日本人はそれを理解しなければならない。
戦闘不能な者に何発も打ち込まない。狙撃兵なら居場所を悟られる前に一発で仕留め、もっと沢山の兵士を狙撃するはずだ。ロシアンスナイパーを見てもらいたい。
テト攻勢(1968年1月30日)以降の話だと思うが、この頃はソンミ村虐殺事件とかで米軍は暴走し始める時期。この映画はそれを表していると思うが、何故?ズバリそれを描かなかったか?そして、その後、約7年ベトナム戦争は続く。この映画はフエの虐殺事件の20年後に封切られている。ある意味、プロパガンダ映画かもしれない。
今起きている戦争も残念ながら簡単には終わらないと思う。歴史は繰り返すと言うが、ベトナム戦争等を教訓に早く争いをおさめてもらいたいと思う。
ローリング・ストーンズの
『Paint It, Black』が名曲と思えた。
後半だけでよかったかも、
ベトナム少女狙撃兵対海兵隊。!
スタンリーキューブリック作品。
哲学的なことは良くわからないが名作と言う人達は前半部の訓練で人間が兵器として作り上げられる過程が恐怖であり、それが反戦を訴えているから素晴らしいと言うのである。
ただアメリカ海兵隊は訓練が厳しいのは伝統のはず。
精鋭の中の精鋭の証。!
各国大使館の警備は海兵隊の役割。
軍事評論家もあまり言わないが日本軍の太平洋の各島の地上戦はアメリカ海兵隊に負けたと言っても差し支えないと思う。!
Once a Marine, Always a Marine.
(海兵隊に一度なったら生涯海兵隊。)
この言葉の真意は一度海兵隊になったら兵役を退いても海兵隊の誇りを忘れずアメリカ国民の模範になる様に努めると言う意味があるらしい。
これからするとけっして悪いスローガンではない。
誇りを殺人兵器と言われるのもちょっとどうかと思う。!
(最近沖縄で問題も多く発生しているのは嘆かわしが。)
キューブリックだからといって常に平等表現をしているとは限らない。!
誇りを上手く反戦に結びつけたと感心させらる。!
私は、アメリカ海兵隊を散々な目に合わせた可愛らしいベトナム少女狙撃兵がなんとも魅力的だ。!
日本アニメに影響をあたえていそうな気がする。!
最後にベトナム戦の海兵隊の戦いを振り返って下記の様に言われた。
FIRST IN LAST OUT!
FIRST=ダナン上陸。
OUT=サイゴン要人保護、撤退。
誇り高い海兵隊らしい言葉(モットー)である。!
地獄のFワード
たとえば今の若者に、スマホのなかった時代の話をしてもピンとこないと思うんですよ。
おじさんの世代ではPHSってのがあってね、とか
友達同士で”ワン切り”してじゃれあったりしてね、とか。
それこそJ-PHONEがカメラ付きケータイを、とかiPhoneが発表された時の衝撃だとか。
だから僕は過去の名作ってちょっと得意じゃなくて、いかに当時センセーショナルだったとしても
現代の感覚で見て「面白い」っていうのとはちょっと違うんじゃない?と。
なんだけど本作は、全編を手放しでは褒められないけど今とは違う趣きっていうか、
当時だから取れた映像ってあるんだな、と気づかせてくれた。
特に印象的なのは”主人公”がいないってところ。
いちおう全編に登場するジョーカーが主役ではあるんだろうけど、
別に特別でもなければヒーローでもないっていう。まぁちょっと面倒見が良いくらい。
むしろ前半はその、今ならグレーゾーン満載の”ほほ笑みデブ”レナードが主役級だしね。
ともかく、莫大な金がかかってそうな映像は迫力満点だし、
30年以上経った今でも古びてないのはさすがだった。
ただね、ストーリーって部分でいくと、そんなにだったかなって。
総合すると「教養として見てよかった」ってとこに落ち着くかなと。
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