フルメタル・ジャケットのレビュー・感想・評価
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紛れもない名作
「戦争映画」でこれをナンバーワンに推す人はわりと多いんじゃないでしょうか。紛れもない名作です。
戦争映画には他にも名作と呼ぶべき作品がたくさんあります。時代、戦場を問わなければ、ありすぎる、ほど。
それでも「フルメタルジャケット」はいつまでたっても埋もれない。異色、異質であり続けています。
なぜか?まず、栄光や悲劇など逸話を取り立てて描いていないこと。戦争映画はむしろドラマティックに描くほうが簡単なはずである。それをせず、下品な描写で全てを茶化すかのよう。ふざけた視点のまま、混沌とした状況を映像化していった、という印象。
しかし、だからこそ浮き彫りにされるものがある。
本作を前にすると、戦争映画でまっとうな「答え」らしきものを提示している作品は安っぽく感じられてなりません。
戦争のばかばかしさ
ハートマン鬼軍曹(R・リー・アーメイ)による徹底したシゴキ。一糸乱れぬ隊列をよそにデブ1人が落ちこぼれる。新しく班長になったメガネのジョーカー(モディーン)も彼をかばうものの、夜中に他の二等兵に殴られたりする。そのうちデブのパイル(ドノフリオ)は精神的におかしくなってくる。病気を理由に除隊という手段もあったのだが、なんとか訓練所を卒業する・・・
パイルの狂気に満ちた顔は『シャイニング』のジャック・ニコルソンさえ思い起こす。その彼が実弾を充填しトイレでハートマンを射殺。そして銃口を口に咥えて自殺。背筋が凍るような一瞬だ。
後半は一転して南ベトナムに。情報部に転属となったジョーカー。フエ市の攻防が激化し、のん気に取材する雰囲気ではなくなった。北の砦となった廃墟からは激しい銃火。ちょっとでも先を進めば殺されるといった状況なのだ。撤退したという噂を聞いて確かめにいく先遣隊。また数名のアメリカ兵が殺されたが、スナイパーはたった一人でしかも女性だったという驚愕の事実がジョーカーを唖然とさせるのだ。
とにかく卑猥語のオンパレード。聞きたくもないくらい(笑)。戦争の虚しさ、馬鹿馬鹿しさ、特に南ベトナムに自由を与えるためにやってきたのに、彼らからも窃盗されたりするのだ。虚しさのきわみは最後の行進。血に染まったかのような夕闇の中を、ミッキーマウスのテーマを歌いながら行進する海兵隊たちは虚勢を張っているのか、虚しさを無理に楽しくしようとしているのか。
反戦という言葉はほとんどジョークにもなってしまっているが、空しさだけはよく伝わる。ジョーカーの心理描写がもっとわかりやすければいいのに・・・
これは最高の戦争映画だぜ〜(°▽°)
結構グロいシーンがいっぱいあるけど、それすら吹き飛ばすキャラクター
の凄さ。
まず問答無用で鬼教官、この人の語彙力は悪い方向に振り切れている!
おフ●ラ豚とか微笑みデブとかどっから湧いてくるんだという和訳も特筆すべき点。
そして前半のMVPはこの微笑みデブ、トロくって隊のお荷物なのだが
とうとう皆んなからリンチされて頭がおかしくなる。銃に名前をつけて話しかけ出すまで行くのだが、この微笑みデブなんと射撃の才能があったのだ。。そして海兵隊卒業の日まで前半。
後半は実戦でベトナム戦争に赴いた海兵隊隊員を描く。前半で班長をやっていた新聞部の隊員にスポットが当たる。ここでもベトナム人が家畜のように
どんどん殺されて行く。
ヘリコプターでHow can you shoot women and children?と聞かれ、
「easy!」と答えるヘリコプター射手のシーンは有名ではないか。本当はこの人がハートマン軍曹役だったがハートマン役の指導役が強烈すぎて急遽その人がハートマン軍曹になったトリビアもお約束である。
何はともあれ戦場は厳しいぜ、厳しい戦場が続く。この辺のシーンは生々しいエグイシーンが多く、前半のネタにされてる箇所とは違う戦争の悲惨さにスポットが当たっている。この辺のチグハグ感がこの映画を印象付けるものなのかもしれない。
結構、これを見てキューブリック作品にハマったので記念にレビューして見ました。
青年は人間性を放棄する事が出来るか?
シャイニングに続いてキューブリック作品を鑑賞。
前半の訓練学校シーンは今見ても衝撃的。
リー・アーメイ演じるハートマン軍曹のシゴキが執拗に続く。
演技も歌もFワード連発のセリフも、一度見たら忘れられないだろう。
このシゴキに耐えた者こそ殺人兵器として戦場に赴くことになるのだ。
だがレナードはそのシゴキに耐えられず葛藤し心は限界を迎える。
後半はベトナム戦争にしては珍しい市街戦を従軍カメラマンのレンズ越しに描く。
そこで描かれるのは訓練学校を卒業後兵器と化し、殺すことに何のためらいも覚えなくなった兵士達だ。
頭をバリカンで刈るオープニングから戦場を歌いながら行軍するクライマックスまで、あくまでたんたんと描かれる。
戦場では個人の意思も夢も全てジョークに見えてくる。
でなければ人を殺す事など出来るはずがない。
唯一人間性を放棄できなかったレナード、実は彼こそが本当の人間だったのかもしれない。
世界最高の罵詈雑言
ベトナム戦争の時代を舞台に、ハートマン軍曹の鬼のしごきに耐えながら成長して行くアメリカ海兵隊の訓練生とその後の彼らのベトナムでの活躍を描いた洋画史上最高の翻訳センスが発揮された戦争映画。
戦争映画は苦手だが今作だけは別格だ。
前半のインパクトが強すぎて後半のベトナム戦争シーンが薄まってしまうからだ笑。
前後半が明確に分かれている作品は多いが、今作のように極端に前後半で内容が分かれている作品も珍しいと思う。
その理由が何を隠そう、故Rリーアーメイが演じる海兵隊訓練キャンプの鬼教官、ハートマン軍曹の多彩なボキャブラリーを用いた世界最高の罵詈雑言の嵐であることは言うまでもない。
ここで輝かしい彼の罵声のランキングTOP3を紹介したい。
No.3
冒頭から罵声を飛ばしまくるハートマン軍曹に対して思わすひとりごちたジョーカーに向かっての脅し文句
「頭が死ぬほどファックするまでシゴいてやる!ケツの穴でミルクを飲むようになるまでシゴき倒す!」
No.2
ハートマン軍曹の罵声に刃向かうジョーカーの度胸を買った際の一言
「気に入った!家に来て妹をファックしていいぞ!」
No.1
いつまで経っても成長の見られない微笑みデブことレナードに向かっての訓練中の一言
「セイウチのケツにド頭突っ込んでおっ死ね!」
正直No. 1がパワーワードすぎて無理やり作ったランキングではあるが、過去未来どちらの面から見てもこれは超えられないのではないかと思うほど素晴らしきワードチョイスと翻訳センスが組み合わさっている。
そのハートマン軍曹の罵詈雑言を余すことなく浴びせられるレナードこと微笑みデブを演じるヴィンセントドノフリオの怪演も見ものだ。
顔の筋肉が緩み切った常時笑っているような顔、靴紐も結べない無能っぷり、こいつの罰は貴様ら全員の連帯責任だと軍曹に言わしめ
皆が腕立てをさせられる中直立不動でドーナツを食らう面の厚さなどなど。
いじめられっ子要素満載のレナードが壮絶なハートマン軍曹のしごきと同期からのイジメに耐え抜き、主席の成績で卒業するまでの様子は感涙ものだ。もちろんウソだ笑。
前半のクライマックスにあたるトイレでのシーンはまさに壮絶。キューブリック特有の上向き過ぎて白目になりかける表情のままハートマン軍曹を銃殺し、自殺するレナードはまさに気が触れてるかのようであった。
正直初回は前半だけの映画で後半はいらないと思ってたけど2回目以降は意外と後半も面白いなぁと思った。ただやっぱり前半の衝撃と印象が強すぎる映画ではある笑。
リバイバルの機会に恵まれて映画館で鑑賞したが、前半の件で笑い死にそうなるし周りは静かだしで完全に笑ってはいけないアレだった笑。
2014年11月19日(水)1回目
2018年02月17日(土)2回目@池袋新文芸坐
なぜこれほど高評価なのかがわからない おもしろくなくはなかったけど...
なぜこれほど高評価なのかがわからない
おもしろくなくはなかったけど、普通じゃね
前半のシーンの罵倒は過去最高だった
最高というより最低
どこに狂気を感じるか人それぞれ
視聴:1回目
推薦:戦争映画たくさん見てる人に
感想:他の人がレビューでも書いているがカメラワークには奥行きを意識したものだった。前半の汚い言葉のたたみかけと狂気が混じっていく様、ポイントごとの歌とBGMを挟むところ、ベトナム兵は一向に姿を出さずにやっと倒せたと思ったら少女だったというオチ。他の戦争映画とは一線を画します。これから見る人は、他を色々見てから比較しながら見たほうが私は楽しめるのではと思った。
戦争映画の名作・・
前半は訓練所での新人兵士のしごきの様子、そこでの事件、後半はベトナム戦争の前線の市街地での壮絶な戦闘。途中で流れるロックン・ロールのヴォーカルはミック・ジャガーか!?最後にベトナム人少女のスナイパーが「Shot me!」と米兵たちに向かって声を振り絞った場面は・・(涙)従軍カメラマンのジョーカーが見た戦場とは。1987年のアメリカ映画。
そんなに…??
2001年宇宙の旅や時計じかけのオレンジ、博士の異常な… などを観て、キューブリックの戦争映画ってどんなだろう?と観てみた。
訓練兵時代の前半と、戦地の後半に別れている。前半は殺人人間をつくる異常空間が、よく伝わってくる。
それから、なんといってもデブ兵が狂気に囚われるシーン。支配する側とされる側の関係性を狂気で覆すという、斜め上をいく展開だった。
前半と後半は、印象がだいぶ違う。戦争の残酷さを描きたいのは伝わってくるけれど、いまいち何に焦点をあててみればいいのか、話の筋がまとまっていないんじゃないか?? 起承転結がなくばらついたイメージがある。
特に前半で描かれていた、ジョーカーの二面性。不条理を嫌う意思の強い善良な性格な反面、いじめに荷担してしまうという残酷さ。その二面性が戦争によってどう変化するのか、中途半端で終わっている。
戦争の残酷さを描きたいなら、ドキュメンタリー的に流して見せるんじゃなくて、もっと脚本練った方がいいと思う。ただ衝撃的なシーンを見せるんじゃなくて、もっと人間の内面に迫った脚本が必要だと思う。
衝撃的な反撃の一撃を放ったポッチャリ兵士はたいそうをかしかった。あのポッチャリは教官に共感していたと思ってたのにぁ
ポッチャリが訓練で病んで、暴れ回るんです。
ポッチャリはいままでそんな素振りすら見せぬ、服従だけを持ち味としていた、従順な兵士(予備)だったのに、酷い訓練の終わりの日、壊れました。
そのシーンは大爆笑出来ます。人って、変われるんだなぁって、勇気ももらえます。
この映画は前半と後半で内容がガラッと変わって二本立ての映画を観ているみたい。
戦争がない国では受験戦争。
人間は戦争とは切って切り離せない関係なんだね。
自分の英語力のなさを痛感します。
これは痛快なセリフに面白さが詰まっています。
多分、字幕じゃ100%表現しきれてないから。
もっともっと、直接的な表現として翻訳してほしい。
なんか、すごく柔らかい表現にすり替えられている気がする。
それじゃこの映画の良さは半減するのに!!!!!!!
この映画は前半と後半で内容がガラッと変わって二本立ての映画を観ているみたい。
あたしは前半の方が好きです。
鬼教官の調教や環境によってデブの精神がぷつぷつと崩壊していく様に、引き込まれるからです。
話はジョーカーを中心に進んでいきますが、最後まで、そこまでジョーカーに感情移入が出来ないのは、この映画が常に第三者の目としてジョーカーの周りを淡々と映しているからだと思います。そこが、いい。
途中戦士へのインタビュー風の映像があることからもそれがわかるように、戦争を客観的に映し出そうとしている。これが他の戦争映画との大きな差異ではないでしょうか。
2010/6/10@メディラボ
イギリス映画
監督:スタンリー・キューブリック
主演:マシュー・モディーン
ヴィンセント・ドノフリオ
公開日:1987年6月26日(米)
1988年3月19日(日)
制作費:$17,000,000
キューブリックのベトナム戦争
前半の訓練描写に後半からの市街戦とロックンロールにポップスとエンディングに流れるストーンズの"黒くぬれ!"など最高なセンス溢れる演出描写。
徐々に精神が崩壊し異常を期していく"微笑みデブ"が「シャイニング」のJ・ニコルソンばりの形相に。
前半の汚い卑猥なセリフだらけの異様な光景にキューブリックが描くベトナム戦争は人間の心理描写として狂っている。
スナイパーのベトコン少女に翻弄されるアメリカ兵が無様で斬新。
7.6MM Full Metal Jacket. 狂気を見事に描いたキューブリックの戦争映画
今では何の大儀もなかった事がわかってしまったベトナム戦争を描いた作品。いわゆるアメリカお得意の戦争をする為の戦争だった訳ですが、その中でもきっと現場の兵士は国の為、仲間の為と思って戦っていたんだろうなと思います。
前半の兵士を作り上げていく過程は目を見張る物があります。段々と狂気に陥っていく新兵の目つきが印象的です。おデブの新兵が愛しそうに銃を見ている目つき、怖すぎます。
後半のベトナムでの市街戦、長回しで画面に引き込まれます。CGもない時代に良く撮ったなと感心します。さすがキューブリック。これだけ時代が経った今観ても何の遜色もない良くできた戦争映画です。
全78件中、41~60件目を表示