フランケンウィニー(1984)のレビュー・感想・評価
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フラン犬スパーキー
1984年制作
1994年公開作品
東京と大阪のみ
併映『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』
監督は『ピーウィーの大冒険』『ビートルジュース』『バットマン』『シザーハンズ』『マーズ・アタック!』
『スリーピー・ホロウ』『チャーリーとチョコレート工場』『アリス・イン・ワンダーランド』『フランケンウィニー』『ビートルジュース ビートルジュース』のティム・バートン
脚本はTVドラマ『フルハウス』シーズン1から3に参加したレニー・リップス
原作メアリー・シェリーで1930年代に映画化もされた『フランケンシュタイン』『フランケンシュタインの花嫁』がモチーフ
ファンタジーコメディー
オマージュのためかモノクロ
ティム・バートンがアニメーターとしてディズニーに所属していた頃の短編実写映画
当時無名の25歳に100万ドルの投資をしたディズニー社の目の付け所は見事なものでアンチな自分でもそれは素直に褒める他ない
リバイバル上映『ピノキオ』と併映公開される予定だったがPG指定にされたためお蔵入り
ティム・バートンの名前がメジャーになったために日の目を見ることになった
時間の都合で短編になったようだ
2012年にセルフリメイクでアニメ化されている
タイトルの一部のウィニーは犬の名前でもなく主人公の名前でも渾名でもない
ウィニーには「弱虫」とか「オタク」という意味もあるらしいがおそらくそれだろう
子供ながら電気ショックで愛犬を復活させてしまう科学オタクぶりを評したのかもしれない
でもちょっとタイトルはピンとこない
粗筋
舞台はカリフォルニア郊外
ヴィクター少年が飼っていたブルテリア犬スパーキーはヴィクターが投げたボールを取りに行った際にたまたま家の前を通った自動車に轢かれ亡くなってしまう
悲観に暮れるヴィクターだったが担任教師が学校の授業で死んだカエルに電流を流し反応させることをヒントにスパーキーを雷のチカラで復活させた
近所中大騒ぎになり風車小屋に逃げ込むスパーキーとヴィクター
風車小屋は火事になりスパーキーはヴィクターを助けるも再び亡くなってしまう
名犬ぶりに感動した地域住民は車のバッテリーで二たびスパーキーを復活させる
おそらく車に轢かれた時の損傷が激しかったのだろう
墓に埋める前になるべく元に姿に近づけるため縫い合わせたのかもしれない
その姿はティム・バートンらしいがなんか笑ってしまう
アニメだと笑えないが実写だとベースが本物の犬なので微笑ましいのかもしれない
ティム・バートンの監督としてのダーニングポイントになった名犬である
フランク・デイル役としてジェイソン・ハーヴェイが出演しているがよくわからない
ちなみにガモウひろしの作品に『モンスターちゃんがやって来た!』という藤子不二雄Aの『怪物くん』をモチーフにした漫画がある
モンスターちゃんのお供もやはりトリオなんだがその一体がフランケンシュタインのようなツギハギだらけの犬「フラン犬」だったのは偶然か
『臨機応変マン』の4巻と『スーパーボウヤ ケンちゃん』に収録されている
アニメ化された『とっても!ラッキーマン』のほうが有名だが自分としてはこの3作品のほうが好き
今はなきフレッシュジャンプで連載していた頃から自分はガモウひろしのファンだった
ガモウひろしが書いた漫画単行本はほぼリアルタイムで全て地元の書店で買い今も所有している珍しい良い子である
本編より単行本のおまけコーナーが面白かった
『スーパーボウヤ ケンちゃん』の主人公はサイボーグで普段はいじめられっ子でよく虐められるがその虐められたことによるエネルギーで変身できるようになる設定が斬新だった
配役
交通事故で亡くなった愛犬スパーキーを墓から掘り返し電気ショックを与えて復活させた少年ヴィクター・フランケンシュタインにバレット・オリバー
ヴィクターの母親のスーザンにシェリー・デュヴァル
ヴィクターの父親のベンにダニエル・スターン
ヴィクターの担任教師のウォルシュにポール・バーテル
フランケンシュタイン家の隣に住むチェンバースにジョゼフ・メイハー
チェンバースの娘のアンにソフィア・コッポラ
チェンバース家の隣に住むエプスタイン夫人にローズ・ブレイバーマン
25歳のティム・バートンに100万ドル与えてこの作品を作らせたディズニー社の大英断
ティム・バートン最初期の作品。
30分の短編作品なのに、ティム・バートン・テイストの作品として完成していることに驚かされる。
安っぽいところやチャチなところは一切ない。演出も映像も俳優もA級の作品と言える。
Wikipediaによると本作の製作費は100万ドルだそうである。
当時のレートで日本円にして2億3750万円ちょっと。
当時25歳でまだ一介のアニメーターに過ぎなかったティム・バートンにこれだけの製作費を与えて30分の短編映画を作らせた会社側の決断力にも驚かされる。
結果的にこの決断は大英断だった。
若き鬼才ティム・バートンはその才能を遺憾なく発揮して、ジェームズ・ホエールが1931年に撮った『フランケンシュタイン』へのオマージュに満ちた傑作を作り上げた。
ただ、この作品は『フランケンシュタイン』とは決定的に異なる部分がある。
『フランケンシュタイン』のテーマが「新たな生命の創造」であるのに対して、本作のテーマは「死者の復活」なのである。
これ、似ているようで全然違う。
死にかけているというならともかく、完全に死んでしまったものを再び蘇らせるというのは、生命の創造以上に禁断の行為という気がする。
そのせいで、なんとなく本作に複雑な感情を抱く観客も多いのではないだろうか。
自分もかつてコロという雑種の黒犬を飼っていた。
コロは13歳で老衰で死んでしまったのだけれど、自分と同じように飼っていた犬との別れを経験したことのある人は涙腺を刺激されてしまうこと必至の作品である。
自分も観ていて何度かウルっとしてしまった。
でも、やっぱり死んでしまったものは無理に蘇らせたりしないでそっとしておいた方がいいと思う。
それが一般人の感性であり、そういう意味ではこんな作品を作るティム・バートンの感性はいびつでありどうかしているのである。
そして、この一般人とかけ離れたいびつな感性こそがティム・バートンの作品を唯一無二の怪作たらしめているのである。
ティム・バートンにはやはり天才よりも鬼才という称号の方が相応しい。
本作はティム・バートンが25歳の新人監督という段階で既に鬼才としてほとんど完成していることを証明してみせた驚異の一本である。
本作単体でも充分楽しめるけれど、ジェームズ・ホエールの『フランケンシュタイン』と『フランケンシュタインの花嫁』を観ていると何倍も楽しめる。
自分もこの二作を観たあとで改めて本作を観直したら「あ、この場面そっくりじゃん!」と何度もニヤニヤしてしまい、前に観たときより評価が上がってしまった(笑)。
僕には犬が人を洗脳して行ってるように見えた。
したいの犬が歩いてるのは異常じゃん、異常なのにどんどんみんな不信感感じなくなるんだよ、少年→家族→近隣住民→市内みたいに洗脳されていくのかな
フランケンシュタインの怪物(但し、犬)
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